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はじめに 
1. 別府は偉い 
2. 別府の歴史 
3. 別府の温泉 
4. 別府のアヒル

5. 別府の謎  
秘蔵VTR 

3. 別府の温泉


かまど地獄

 
 我々は通常、別府の温泉を総称して「別府温泉」と呼んでいますが、別府はたいへん広く、海岸から山のてっぺんまで、いたるところで温泉が湧き出ています。そして、それぞれの地区ごとに「浜脇温泉」とか「明礬(みょうばん)温泉」という名前がついています。大きく分けると八カ所の温泉があって、「別府八湯」と呼ばれています。厳密にはその中の一つ、駅に近い北浜周辺エリアのことを「別府温泉」というのです。
 今は九州観光の中心が長崎やハウステンボスに移ってしまい、また別府の近くの湯布院がかなりメジャーになってきたので、別府は今年のゴールデンウィークもかなり客が少なかったそうです。それでも地獄巡りで有名な「鉄輪(かんなわ)温泉」と、杉の井ホテルを擁する「観海寺(かんかいじ)温泉」は宿泊率100%だったと地元の新聞に書いてありました。


海地獄。ゆでたまごもできる高温!


血の池地獄と、名物「血の池軟膏」販売。
「しらくも」「がんがさ」って知ってる?

 鉄輪温泉だけでも草津温泉に匹敵する規模があり、それが別府八湯のひとつにすぎないことを考えると、いかに別府のスケールが大きいかがおわかりいただけるでしょう。ちなみに北浜から鉄輪まではタクシーで1600円ぐらいの距離があります。
 そんなわけで、1週間あっても別府の全てを味わい尽くすことは不可能でした。1年でも無理かも・・・。
 地区ごとに温泉の泉質がそれぞれ異なっていて、自分に適したお湯を探すというのも別府の楽しみ方のひとつです。透き通ったお湯もあれば乳白色のお湯もあり、泥湯というオソロシイものもあります。足首まで粘土状の泥に埋まってしまうという、恐怖の混浴露店風呂なのだよ。
 また同じ地区でも、共同浴場あり、旅館やホテルのさまざまに工夫を凝らした浴場あり、それも大きな浴場になると、そこだけで庭園露天風呂、うたせ湯、むし湯、箱湯、砂湯・・・など、あらゆる形式のお風呂が楽しめるようになっています。スギノイパレスはその代表ですね。

 同じ泉質でも、浴槽を「あつい湯」と「ふつうの湯」に分けてあったり、ジャグジーや気泡湯、寝たまま入れる「寝湯」、底が砂利になっててザブザブ歩く「歩行湯」など、さまざまなバリエーションがあります。だから、ひとつひとつのお湯に入る時間は短くても、トータルだとすぐ1時間以上の長湯になってしまいます。
 したがって、心臓などの負担を軽くするために、適当に休憩しながら入ることが重要であり、そのためのイスなどもたいてい用意されています。また湯上がりの際も、すぐにタオルで体をゴシゴシふいてしまっては、せっかくの有効成分を除去してしまうことになるので、裸のまま休んで自然にかわかすのがよろしい。最後はタオルで軽く叩くようにして水分を取る。ちなみにおいらはそうやってたら1週間でヘソに湯ノ花畑ができてしまいました(-_-;)。

 多くの共同浴場は60円〜100円で利用できます。前回の話に出てきた60円の竹瓦温泉は昔ながらの風情があり、別府のシンボル的存在なので、一度は入っていただきたい。
 もし古い共同浴場をなんだか不潔そうでイヤだとお考えになる上品な方は、4月に新装オープンしたばかりの柴石共同温泉(これも100円)とか、平成3年にできたクアハウス的施設の湯都ピア浜脇(こちらはちょっと高くて520円)がお薦めです。いろんなお風呂に加えて休憩用の大広間や、浜脇の場合は近代的なトレーニングルームまで利用できます。


柴石共同温泉。右は、残念ながら現在は使用されていない「むし湯」の跡。
閉所恐怖症の人はとうてい耐えられそうにない。

 浜脇も北浜からけっこう遠いのですが、おいらは往きはタクシーを使って、帰りは別府駅の方向へブラブラ歩いて帰ってきました。というのは、この別府駅から南のエリアというのはすごく面白くて、たとえば看板も何も出てないんだけど、昔ながらの木のケースにおはぎやまんじゅうを並べてあって、誰も店番をしていない不思議なまんじゅう屋だとか(笑)、いまにもくずれ落ちそうな旅館や骨董品屋が軒を連ねています。東京だったら昭和40年代のものでもじゅうぶんレトロっぽく感じるけど、このあたりは戦前の面影を残してるからね、古さが違う。


戦前の面影を残す街並み。右は謎の饅頭屋。