と庁 別府ナポリメニュー
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12/1112・13・14おまけ

 おいらより早く起きたルミチンが、何か買おうと思って白石保栄堂に行ったら、逆におはぎとお赤飯をタダでくれたという。おとといも買いに来たのを覚えてくれていたようだが、別府の人ってどうしてこんなに商売っ気がないのだろう?(-_-;)
 讃州堂と白石保栄堂という、別府最強のおはぎと赤飯を2日レンチャンで味わえる幸せ。(あ、きのうの朝はデカ弁のおはぎも食べたっけ(^^;)。)
 讃州堂は上品で、軽やかなうまさだったが、白石保栄堂はその味に年輪を感じる。
 おはぎのあんこは、完全に昔通りの手作りでなければここまでのコクとネットリ感は出せないだろう。そのかわり1日に作れる量は限られるし、しかも洋菓子のように1個で何百円も取れるものじゃないから、商売だと思ったらやっていけないと思う。これはもう、律義で実直な「職人の人生そのもの」の味である。

 チェックアウトをすませ、ロビーで和泉先生(70歳)をお迎えする。
 和泉先生はもと学校の先生で、現在、切り絵で「別府百景」を制作中。ルミチンがその作品のファンなので、小笹さんが会えるように手配してくださったのである。
 中村珈琲店が10時になっても開かなかったので(^^;)、駅構内のイタトマでお茶。

 昔のひょうたん温泉や鶴見園の話など、とても興味深かった。
 先生曰く、別府は扇状地なので稲作に適さなかったこともあり、それほど歴史のある街ではないのだという。
 たしかに住人も、九州近郊や四国、関西からの移住者、あるいはその2世、3世がかなりの割合を占めている。
 別府に、バブルとともにはじけた「斜陽の観光地」のイメージを抱く人は少なくないが、考えようによっては、別府はまだ「若い街」であり、本当の発展はこれからなのかもしれないと考えさせられた。
 なんと本物の切り絵を1枚いただいた。いいのかな〜。どうもありがとうございます!

 和泉先生とお別れしたあと、リニューアルされた海門寺公園へ。
 ルミチンは小学校の女の子と無邪気に遊ぶ(笑)。

 野上本館へ行き、できたばかりの家族風呂「刻の湯」を見学させてもらう。
 すぐに入れますよと言われたが、バスの時間まで荷物を置かせてもらうのも目的だったりするので(笑)、1時半に予約を入れた。
 
 六盛の冷麺を食べる。いま別府に来たら絶対はずせないのが、これ。
 ちなみにもう1軒の定番、アーサーの通りにある宝来軒は、シャッターが閉まっていて、しばらく休むと貼紙されていた。(2号店があるらしいのだが、まだ行ったことはない。)
 六盛の冷麺は、日本そば風味でシコシコした麺と、辛味・酸味・旨味が調和したスープがめちゃくちゃうまい。
 ルミチンのチャーシューメン(とんこつ)は、ちょっとコショーが強すぎたのが惜しい。卓上にコショーが置いてあるんだから、最初からあんなに入れて客に出すことはない。

 従業員のひとりが、妙に「別府つげ工芸」の安藤さんに似ていて、一瞬、安藤さんがバイトしているのかと思ったほど。ルミチンも同じように思ったらしい(笑)。
 本物の安藤さんにちょこっと挨拶に行ってから、ゆずまんの塩月堂でおやつを購入。

 まだ1時ちょっと過ぎだったが、野上本館まで戻ってきてしまったので、刻の湯「光壽泉」に入らせてもらう。
 普通のタイルと共に、古い食器や屋根瓦の破片などが大量に使われいて、おもしろい。
 昼間は外からの微妙な自然光が差し、独特の雰囲気を醸し出す。
 かけ流しのお湯は非常に熱かったが、水で調節してなんとか入浴。気持ちよかと〜。

 トキハの百円ショップで時間をつぶし、天神行きの高速バスに乗る。

 天神バスセンターで下車。
 田可尾には30分ぐらい早く着いてしまったが、寒いので中に入らせてもらう。
 親方の高尾さんはルミチンと同い年。ついにおいらも、年下の親方に鮨を握ってもらうトシになってしまった。

 銀座の鮨ダネは、たしかに全国からの最高級品を集めてはいるが、必ずしもその日の朝に獲れた魚がすぐ築地に並ぶわけではないので、鮮度ではどうしたって産地にはかなわない。
 銀座で修業した職人が故郷に帰り、地元の鮮度の高い魚を銀座の技術で握れば、「銀座より安くて旨い鮨」が実現可能であることを証明したのが高尾さんだ。

 「東京の早川光がなかなか食べにこれなくてスイマセンと言ってました」と報告したら「ウヘッ」というような顔で恐縮していた。(早川氏はおいらの古い友人で、スーパージャンプの鮨マンガ「きららの仕事」の原作者である。一時期ストーリーの舞台が九州だったのも、原作者が唐津の「つく田」と博多の「田可尾」に惚れたからだそうだ。早川氏は高尾さんを「天才」と評している。)
 「同じような仕事をされてるんですか」「早川さんとはよくお会いになるんですか」と、いろいろ聞かれた。

 キッチリ六面体として握られた鮨は、ボリュームには欠けるが、タネとシャリに一体感があり、江戸前の「粋」と言うより、京料理のように洗練された日本料理という感じ。
 玄界灘のタイもさることながら、サヨリのサクサクした歯ごたえにビックリ。サバの上品な味にもまたビックリ。
 まさに「鮮度の違い」である。
 もちろん、鮮度の高さは同じでも、魚には個体差というものがあるが、高尾さんは最高の魚を見分ける「目利き」においても名人級なのである。
 握りのサイズに合わせた小振りの車海老は、口の中で甘さが爆発。
 炙った穴子の握りは半分に切り、塩とツメの両方で食べさせてくれるが、これもまた絶品。
 マグロの産地は聞かなかったが、堂々たるホンマグロの味で、トロも力強い。

 「今夜は唐津で泊まるんです」
 「じゃあ、あしたは「つく田」ですか」
 「え(笑)。まあ、考えてはいるんですが・・・」
 「きのうもそういうお客さんがいたんですよ」
 う〜ん、「きららの仕事」ファン、おそるべし(笑)。

 おまかせで一通り食べて、2人分の勘定は次郎より1万円安かった。
 1回の食事としての満足度は、次郎にまさるとも劣らない。
 おいらにとって首都圏に住むメリットのひとつは次郎よこはま店に電車で行けることだが、博多に「田可尾」があるなら、安心して別府に移住できる要素がひとつ増えたというものである(笑)。

 唐津まで直通の地下鉄(姪浜でJR線に乗り入れ)に乗る。おいら的にはこの旅の目的は全て終えてしまった(笑)。
 1時間ちょっとで、虹の松原あたりから、ライトアップされた唐津城が見えてくる。
 9時頃、唐津に到着。北口も南口も真っ暗である。田舎だ〜。
 唐津シティホテルは駅から0分。そこそこいい部屋で、大浴場もちゃんと温泉だった。