ボルゴの旅 5日目

 
6月22日。
今日はちょっと予定がいっぱいあるので、いつもより30分早く、9時半に集合。
なんと、昨日両替した100ドルをもう使ってしまったので、最後のとらのこ?の160ドルも両替しました。そして駅にいく途中、キオスクでジュースを買う。実は昨日もここで買ったんですが、ホテルで水を買うと60ルーブル、ここでジュースを買うと35ルーブルなのです。安いし、味がする方が美味しいから。
地下鉄を2回くらい乗り替え、最寄りの駅に着いてからは、15分くらい歩きました。
昨日ちょっと足が疲れたけれど、今はまだ朝だったし、歩けました。
そして、全ロシア盲人文化博物館、とにかくそういった名前の博物館に着きました。
ここは、私が旅行社に「なにか視覚障害者関係の所へいきたい」とリクエストしたら、みつけてくれた所。ガイドも「初めてきた」そうです。
11時10分に着いて、約束は11時半だったけれども、もう説明を始めてくれました。
昔のロシアの視覚障害者で、いろいろ活躍した人の話。
見えない人で画家もいた、というので「え、なんで絵が描けるわけ?」と疑問に思っていたら、やはり?生まれつき見えない人では無理で、彼(名前は忘れた)は、中途失明なのだそうです。
また、ダンサーだった女性が、30代になってから失明して、彫刻家になった人もいました。これは、絵と違ってさわれました。ロシア語で「スペインのダンス」とか書かれているので、きっとフラメンコを踊っている彫刻なんだなと思ってさわりました。
説明そのものは、すごく真面目で、おもしろくもなんともなかったんだけれど、なにがよかったって、説明したことと同じような内容が、4行くらいの点字で、歩く道の所々に貼ってあるんです。もちろん私は、ロシア語は発音できないけれど、点字のスペルは読めるし、単語も聞えているから「あ、さっき説明していたのはこれだな?」とか「そうか、イェルシェンコはロシア語ではこう書くのか」と分かったりしました。
もちろんアナトーリーさんが和訳してくれたんだけれど、ロシア語と、日本語と、点字、三つの方法で情報を得られて満足しました。
日本人が来たのはあなたがたが初めてかもしれません、しかし、イェルシェンコのことを考えれば、二番目かもしれません、と言われました。
イェルシェンコは、1914年から1920年まで日本に居て、日本語で小説を書いたりしたのだそうです(その後ロシアで、スターリンから刑務処に入れられたりもしたそうです)。
なにか質問は? と最後に言われ「どうしてここにチェブラーシカがいるんですか」と、さっきから尋きたかったことを尋いてみました。北京パラリンピックの、マスコットだったそうです。
あと他に質問はない? と尋かれ「イッショー ニエッテュ」と言ったら、ものすごく笑われた(恥)正しくは「パカー ニエッテュ」なのだそうです。ロシア語はこうやって、笑われて覚えるのね(汗)

博物館を出て、帰りは駅までバスに乗りました。
よかったあ、バスがあったんだ。
見えない人にとっては、公共の交通機関が大事なのに、どうしてこんなに駅から遠いんだろうと、実はさっきから思っていたのよね。バスがあってよかった。
駅の近くの、ピザのお店でお昼にしました。
「新しい値段。80ルーブルを70ルーブルにします」とかいう看板を、母が読んだから。
私もピザにしようと思ったら、大好きなラザニアがメニューにあるとのことで、ラザニアのセットにしました。
この日は暑い日で、冷たいものが飲みたかったので、しかたなくペプシコーラにしたら、やはり?炭酸がきつくて飲めなかった。半分以上残してしまいました。
私が飲み終わらないので、ガイドものんびり座っていたけれど、もう飲めないから、次の予定があるからいきましょうと言って、歩き出してもらいました。
ほんとは、ラザニアもあまり美味しくなかった。この時一番美味しかったのは、ポテトサラダでした。日本を出ると、どうしてかじゃが芋がものすごく美味しくなりますね。

12時40分頃、また地下鉄に乗りました。
ここから40分、ずっと同じ線に乗る、乗り替えはないとのことで、ちょっとのんびり、携帯でメールを、書こうと思ったら全く聞えないのでやめちゃいました。しかたない、ぼーっとすることにしよう。
ボーッとしたら、いつの間に眠ったらしく、ガイドに言われて地下鉄を降りました。
そこからはタクシーで、チェブラーシカ博物館へ。
「駅から遠いので、駅からはタクシーでいった方がいい」と、前日に日向寺さんから聞いていたので、時間を計ってみたら、車で7分でした。結構あるんだわ。
ここは本業?は幼稚園で、その一部を、チェブラーシカの博物館にしているんですね。
まず入口に、チェブラーシカとワニのギエナ(チェブラーシカの相棒みたいなアニメキャラ)の、銅みたいなものでできた像があります。
そして中に入ると、園長先生が待っていて、いろいろ説明してくれました。
作者のウスペンスキーさんにも、もう許可を得ているとか、園の子どもたちが描いた、チェブラーシカの絵だとか。
中でもうらやましかったのは、しゃべるチェブラーシカのぬいぐるみ。
「ウラー」(ロシア語でばんざい)」と叫ぶものや、幼稚園の子どものためか、ロシア語の数字をゆっくり言ってくれるもの(あれ、私にも勉強になるな)中で海賊の衣装を着たぬいぐるみが「ヒッヒッヒ」とかわいい声で笑う、あれは欲しかったなあ。
しゃべらないけれど、柔道着を着たチェブラーシカ、日本から贈られたチェブラーシカもありました。
幼稚園の園児たちがごはんを食べる、小さなテーブルと小さな椅子の食堂や、園児用のプールもみせてくれました。ここは関係ないけれど、ついでかな?
次に座れと言われ、お茶とクッキーが出てきました。
そ、そんなにゆっくりしてられないんだけど。
それより、園長先生がしゃべり続けていて、さっきから尋きたいことを質問するすき間がありません。
やっと先生が一瞬黙ったすき?をついて、かねてからの質問を言ってみました。
「私の友達(いちのへさんを友達なんて言ったら、いちのへさんファンの男性軍に怒られるだろうけれど、その方が話が簡単だから)が、前にここへきて、身長190センチくらいのチェブラーシカのぬいぐるみを抱っこした、その写真を見た人が私に教えてくれたんだけれど、私もチェブラーシカを抱きたい。そんな大きなぬいぐるみは、どこにあるんですか?」
ちょっと待っててねと言われ、また違う説明が始まりました。
「チェブラーシカに電話もできるのよ」
と言われ、電話ボックスに連れていかれました。 昔、日本にもよくあった、公衆電話のあれです。
そのボックスに入り、お金はたぶん、入れなかったと思うけれど、100番を押すと、チェブラーシカが電話に出るのです。
電話だから、何を言っているかさっぱり聞きとれず、耳を半分受話器から離して、ガイドにも聞かせるようにして、和訳してもらったところによると
「僕はチェブラーシカ、仲よくしてねETC。じゃあ最後に、君のことも話してね、は な し て ね」
そこで電話は終わって、留守電によくある「ピー」という音がするので、ここで子どもなら何か言うんだろうけれど、ひねた大人になってしまった私は「ああ終わった」と、電話を切ってしまいました。笑。
タクシーを呼んでいいですか? とガイド。いいんだけど、あの大きなぬいぐるみはまだ? そもそも、そんな大きなものなら、玄関にあるんじゃないかと思ってたわよ。尋かなきゃ分からないような、どこにあるんだろう? そう思ってまた質問したら「今持ってくる」という和訳。
持ってくる? そんな大きいのを、どうやって?
と思ったら、来ました来ましたチェブラーシカが。歩いてきた! なんと、もう一人いた若い女の先生が、ぬいぐるみに入って現われたのでした。私が電話をかけたりして、遊んでいるうちに、着替えていたのね。
さあ、早く抱き合わないとタクシーがくる。
と、ところが、部屋が暗くてなかなかうちのカメラのシャッターがおりません。
だから、しばらくチェブラーシカと抱き合っていなければなりませんでした。
抱き合って写真を撮るのに夢中で、耳をさわってこなかった。あんな大きなチェブラーシカなら、耳はどんなだったろうと、後から思いました。
タクシーがきたし、時間もあまりないので、みんなとお別れして車に乗りました。
先ほど、いきの車に乗ったおり、ガイドが電話番号を聞いておいて、同じ人だか同じ会社の車を呼んだのです。ちなみに値段は、いきも帰りも300ルーブル。

地下鉄をまた少し乗り替えて、今日もロシアの声の放送局へ。ここで、ガイドは帰りました。
昨日は入口だけでしたが、今日は8階まで上がり、日本語課のみなさんに挨拶、この前お会いした人、何年ぶりかでお会いする人、いろいろです。
そして9階のスタジオに入り、日向寺さんの番組の録音におじゃましました。
これを早くやらないと、遅い時間になるとフランス語課の人がスタジオを使うそうで、実はチェブラーシカに会っている頃からあせっていたのですが。なんとか問題なく、録音できたようです。
既に一度目の放送は終わりました。あとはインターネットで聞くか、7月6日に再放送がありますが、まあ忘れて忘れて。私の声があまりにいやな声だから。
録音が終わり、8階に下りてきて、8階のカフェで、山上さん、菅さん、日向寺さんとお茶にしました。この時はなぜか、うちの母だけがずいぶんしゃべっていて、私や山上さんや菅さんは、ほとんど黙っていました。
それから山上さんと菅さんが、玄関まで送ってくれて、あとは日向寺さんがホテルまで送ってくれたんだけれど、その途中、クローシカ・カルトーシカ(かわいいじゃが芋)というお店で、じゃが芋の中に、チーズとかきのことか、好きなものをトッピングできるもの、そういうものを買いました。私はチーズだったかな? 母はきのこにしました。これを今日の夕食にするつもりです。これは前に山上さんが、NHK衛星第一の「地球アゴラ」という番組に出ていた時に紹介していたもので、美味しいかなあと思って期待して買ったんですけれど、うーん、1回食べればもういいかな?
明日は日向寺さんはお忙しいので、今日でお別れです。また次いつ、モスクワへいけるか分からないし、日向寺さんと、あの、ロシア風の挨拶をしてみたかったけれど、やはりできませんね。恥ずかしいのと、申し訳ないのとで。いつか、そんな機会があればなあとは思いますが、どうかな?
というわけで、普通にお別れして、夕食を食べ、お風呂に入って眠りました。