ウラジオストック日記三日目

 
7月8日
朝食の時、昨日マリーナさんに書いてもらった印を見せて(発音しろよ、汗)スクランブルエッグとオムレツを頼みました。そうしたら、後ろのテーブルで「カーシャ」という声が聞えたんです。そうか、おかゆもこのメニューにあるんだ、明日頼もうと思って、今度は今日のガイドである、カーチャさんにカーシャのチェックを頼んだのでした。

今日も10時にホテルのロビーに集合し、カーチャさん、ワジムさんと出かけました。
今日は私の好きな所へいっていい日です。
ところが、一番欲しかった時計も、母の欲しかったオリーブも、昨日買えてしまいました。
そして、お金がありません。
なのでまず、銀行へいきました。
ここの今日のレートは、100円で22ルーブル。
しまった、昨日の方がレートがよかったんだ、と少し後悔しました。
ま、昨日よく考えなかったから、しかたありませんね。

銀行の次は、CDショップにいきました。
ここは、CDとかDVDとかがぎっしりある店。
ここで、私の好きなロシアの歌手、オクジャワのCDを探しました。
オクジャワのCDは二枚ありました。
今日のガイド、カーチャさんに、日本語に訳して曲名を読んでもらったんだけど、どうも私の好きな「グルジアの歌」がないみたいなんで す。
それに、日本語がよく分からない(汗)
もうそのまま、ロシア語で読んでくれていいよーと頼んで読んでもらいました。
2枚とも買っていいよと母は言ったけれど、「アルバート通の歌」とか「夜のトロリーバス」は二枚ともに入っているの。
しようがない、曲数の多い方を買いました。
買うから、ちょっと試聴させて下さいと頼むと、大きなヘッドホンを私の頭にはめさせて、私にだけ聞けるようにしてくれました。あらら、みんなで聞くんじゃないのね。
オクジャワのライブのCDのようでしたけれど、ロシア語を聞きとる勉強になるかなあと、これにしました。

次はどこへいきたい? と尋かれ、いよいよ答えがなくなる私。
そうだ、エスキモーが食べたいと言いました。
エスキモーっていうのは、ロシアの「チェブラーシカ」というアニメの中の、「ワニのギエナの歌」の中で「誕生日にはエスキモーを500個くらい食べたい」と歌われている、ロシアの代表的なアイスクリーム。前にもみかけたことはあったんだけれど、食事前で我慢するしかなかったんです。今日なら、まだ10時半で時間がある。
エスキモーは買って帰るアイスしかないそうで、どうしようか考えたカーチャさん「アルバート通りにいってみたくない?」と言います。アルバート? モスクワの? と尋き返すと、ウラジオストックにあるアルバート通りだとか。
そこへいって、アイスを買い、べんちに座って食べました。

この時、私は半袖を着ていたんですが、屋根のある通りで座っていると、ちょっと寒かったの。それで母が、車の中にある私の上着をとりに、車を探しにいったんです。
車はみつからなかったけれど、昨日車で通った時に、ぬいぐるみがいっぱいある店が見えた、その同じ店があったんですって。
「あんた、昨日のあの店があったよ」戻ってきた母が言いました。
え? あれはフキナ通り、ここはアルバートだし? と思ったら、アルバート通りというのは通称で、モスクワのアルバート通に似せて作っただけで、ほんとうのこの通りの名前はフキナ通なんですって。よし、アイスを食べたらそこにいこう。
さて、エスキモーと一口に言ってもいろいろあって、私はチョコ味のにしました。
日本にもありそうな、ミルク味のアイスキャンデーで、周りを板チョコで包んでいる、そういうアイスでした。
いろいろあるみたいなので、これだけがエスキモーではないのよー。
ほんとに日本にありそうな、普通のアイスでした。

食べ終わってちょっと歩いて、ぬいぐるみが山ほどあるお店にいきました。
ここは、キオスクと呼ばれている小さな売店で、お店に入ることができません。
窓口の元おねえさんに「あれ下さい」と言って、出してもらうだけなんです。
私は、ぬいぐるみをさわらないと選べません。ウインドーにあるものはさわれません。しかたない、小さなぬいぐるみを窓越しにさわらせてもらい、とりあえず、あの中では一番さわり心地のよかった25ルーブルの象を買いました。

いったん車に戻って、ヨットパーカーをとってから、グム百貨店にいきました。
ここも昨日、マリーナさんとは通り過ぎた所。
間違ってカーチャさんが昨日もいった所へ連れていこうとしても、運転手が昨日と同じワジムさんなので「昨日二人はそこへいったよ」と教えてくれます。

グム百貨店にも小さなぬいぐるみはあったんだけど、なんと、ここのは自由にさわれました。
最初からここへ来ればよかったかな?
さっきの象より、もっと手ざわりのいいぬいぐるみがあったので、50ルーブルの牛を買ってきました。値段は倍だけれど、自由にさわれてよかった。
あとは地下に下りて、メーカー品の化粧品や薬局を、ウインドショッピングしてきました。

デパートを出ると、ガタンガタンと音がします。
そうだ、市電だ。
今日は車つきのツアーだから、あきらめていたけれど、市電に乗っていい? とカーチャさんに言うと、よしそれなら今乗ろうと言う。
市電の停留所で待っていたんだけど、なぜか市電が通過していったので、次の停留所まで歩きました。ところがこれが結構遠くて、15分くらい歩きました。
一駅でも二駅でも、カーチャさんにまかせると言って、結局二駅乗りました。
いやー、その市電の揺れること! 
その揺れる市電の、ひじかけもなんにもないツルンとした木の椅子に座って、私はころげおちやしないかと、椅子の端にしっかりつかまっていました。

市電を降りたところに、ワジムさんと車が待っていました。
私も母も少し疲れたので、そろそろお昼にして下さいと頼み、ロシアでは12時にお昼っていうのは少し早いんだけど、ナスタルギーエというレストランへ連れていってもらいました。
私はペリメニが食べたいと言うと、モスクワでもムールマンスクでも、レストランというよりカフェバーみたいな安い店に連れていかれ、ガイドさんの分をおごっても、痛くもかゆくもないお金だったんだけど。このナスタルギーエ、英語でノスタルジーでしょうか? このお店は、高かった! 3人で食べて、810ルーブルでした。
確かにペリメニは美味しかったけれど、これでほとんどお金が無くなってしまいました。

午後はどうしますかと尋かれても、買い物もしたし、市電にも乗れたしと応えると、カーチャさんが「シベリア鉄道に乗りたくありませんか?」と言う。
そんなことできるの? 
だってあれ、日本にいる時に予約しないといけないんじゃないの? 
これはそういうツアーではないし、というようなことを言ってみたところ、もちろんハバロフスクまでとかそういうのには乗れない。ただ、エレクトローチカでシベリア鉄道を走っているやつがあるから、それなら乗れるというんです。
そうと決まったらすぐいこう!
残っていたミルクティーを飲んで、店を出ました。

駅へいくと、残念ながら電車は今出たところでした。
日本なら、レストランにいるうちから携帯で列車時間とかをしらべて、なんていうことができるんだけど、ロシアではまだそこまではいかないんですね。
それではと、ワジムさんに車で送ってもらって、サナトーリナヤという駅にいき、そこから電車で帰ってくることにしました。

車で30分ほど走って、サナトーリナヤという、新潟にもありそうな、小さな田舎の駅に着きました。ここで、2時15分頃の電車に乗りました。

「アイスクリームを食べたくありませんか? 私は、めしあがりたい」とカーチャさんが言ったけれど、もうお金があまりない。夕食を食べるお金は残しておきたかったので、私は食べませんでした。
カーチャさん、日本語は自分には敬語は使わないのよと言いたかったけれど、もしかして分かっているかもしれないし、それを言うのはやめちゃった。
エレクトローチカ、つまり郊外電車の中では、アイスクリームや新聞やピロシキを売りにきたり、歌を歌ってお金をもらうおばさんがいたり、10年前にモスクワで乗ったそれと、かなり似ていました。
「次はチャイカ」「次はピエルバヤ レーチカ」と次々に駅名の放送があるので、あれ? 一駅じゃなくていいの? こんなに何駅も乗れるの? とカーチャさんに尋ねると、一駅でも四駅でも同じ10ルーブルだったから、10ルーブルで乗れる一番遠くへきたんだって。
このガイドさん、たまにすごーく頭が働くんだな(汗)

2時50分に、終点のウラジオストック駅で降りました。
ここで有料のトイレにいきました。
やっぱり、さっきアイスなんか食べなくてよかったあ!
またちょっと車に乗って、船着場へいきました。ここから、金角湾遊覧の船に乗るんです。

実は昨日の観光が終わった時、あれ? なんでパンフレットによくある、金角湾の遊覧がないの? と尋いたんです。そうしたら、あれは二人で乗ると高いから入れなかったんだって。
それで、私は遊覧船って大好きだし、またウラジオストックへ来ることって、そうそうないと思うし、やっぱり遊覧船に乗りたいと言って、160ドル払って乗ることにしたんです。
この「遊覧船」というロシア語、前にモスクワの知り合いから習ったのに一かけらも思い出せず。ロシア語のクラスメートのHさんに教わった「金角湾」という単語でやっと通じました。
このクラスメート、授業中はほんっとにいじわるで大きらいな人なんだけど、授業以外になると、なかなかいいアドバイスをくれる人なのだ。大きらいなのに、旅行中よくこの人のことを思い出したのでした。

結局、船をチャーターした形になり、母と私とカーチャさんと、あと乗り組員の人たちだけで、大きなお船に乗りました。
いやその、寒かったこと!
でも船室に入ってしまっては意味がないので、甲板の後ろの方の、ちょっと屋根がある所に座って、写真を撮ったりしていました。

船から降りて車に戻ると、ワジムさんが「揺れたかい?」というようなことをロシア語で尋きます。今、揺れたかと言われれば船のことでしょう。それで「普通ーに揺れた」と応えてみました。
なんたって今日一番揺れたのは、市電でした(笑)
今日は10時から4時まで、ガイドと出かける約束でしたが、ホテルに戻ってきたらちょうーど4時で、延長料金は払わなくて済みました。

夕食は、ホテルの4階にあるカフェバーで、ペリメニを食べました。
ペリメニだけではちょっと足りなかったので、母の頼んだと同じパンケーキを食べました。
ペリメニもパンケーキも、それからその後に頼んだマッシュポテトも熱々で、美味しかった。
あと、ミルクティーもおかわりして、それだけ食べて二人で130ルーブルでした。
お昼がいかに高かったか、これで分かっていただけると思います(汗)
あの810ルーブルが、ほんとに後々まで響いたのでした。