伊藤多喜雄のコンサートにいってきました

 
「今日のジパングでの伊藤多喜雄のコンサートは、洪水のために8月1日に延期します」
7月17日、このテレビのアナウンスで、私は初めて伊藤多喜雄さんのコンサートのことを知りました。しかしジパングというのがどこだか分からなかった。そして分かった後も、道の駅へ公の交通機関でいけるかどうか知りませんでした。長岡くらいなら、夜の落語会でもちょこちょこっと出かけられるけれども、新潟市以北というのは、どうも交通の便がよくないのです。けれど新潟交通や、新潟駅に聞いて、帰りの電車もありそうだということが分かり、8月1日、いってくることができました。

私の家から最寄りの駅は、歩いていけないこともないけれども、当日はものすごい暑さ。父に頼みこんで、車で駅へ送ってもらいました。
3時10分の長岡行きで新津までいき、そこから磐越西線で三川へいきます。
実はジパングは、東下条(ひがしげじょう)駅に一番近いのですが、駅からジパングへいく交通がないんです。
三川駅なら、すぐそばにタクシー会社があるというので、そこへいってみました。
すいませーん、ジパングへいきたいんですけどと言うと、事務所にいた男の人が、だれか呼んでくるのかと思いきや、テレビを消してタクシーをスタンバイ。
「7時からのコンサートに今いくの?」
「次の電車でくるともう遅いもんですからあ」
などと話しながら、タクシーのメーターはどんどん上がります。
渋帯ではないんです(汗)
結局、2200円でジパングに着きました。
帰りはシャトルバスがあるかもしれない、今尋いてあげると、バスがあったらご自分はもおからないのにバスがないことを確かめてくれて、では8時半に迎えにきて下さいと頼んで、運転手さんは帰っていきました。無愛想だけれどもほんとにいい人だ。

会場にはそういうわけで、5時過ぎに着きました。
ちょっと心配はしていたけど、案の定コンサートは屋外です。
そうだよね、ドライブインの中ではできないわよね。
せっかく早くきたのだからと、一番前に座ってみたけれど、県内のいろんな地方からきた団体が、よさこいそうらんを踊っていて、その音楽のうるさいこと!ちょっと頭がどうかなりそうだったので、ドライブインに避難することにしました。もう一番前はあきらめた。第一そとは暑過ぎて、とてもあそこで7時まで待てなかったのです。

ジパングは道の駅ですから、ものすごくいろんなものが売られています。
夕食は「海のさちてんぷらそば、冷やし」700円なり。
海老といかのテンプラが、ところせましとおそばの上に乗っています。
美味しかったけど足りなかったので(汗)たまこんにゃく100円と、メロンソフトクリーム200円を食べ、まだ時間があったのでお土産を見学。
笹団子をせおったキティーちゃんのぬいぐるみ、ときの卵から出てくるキティーちゃんのぬいぐるみ(なんだそれ)には笑いました。

6時半になったので、お手洗いを済ませてから会場へ。
実は伊藤さんのコンサートで、トイレに関する辛い思い出があるのです。
11年前、札幌で友達と一緒にコンサートにいったのですが、その時「トイレ休憩はないよ」とステージ上から言われたら急にいきたくなっちゃって、恥ずかしかったけれど友達にささやいて、連れていってもらったんです。そしたら他にもいっぱい、トイレにきていた人はいたけど、みんな男だったの。女は私だけのようでした。恥ずかしかったあ。だから今回は、ちゃんと済ませておきました。
会場にいくと、もう素人たちのよさこいそうらんが終わっていて、そしてさっきは座れなかった、ステージのすぐそばが空いていました。さっきはここで踊っている人がいたんです。やった、一番前に座らなきゃと、椅子もなんにもない地面に座りました。ズボンできてよかった。

こうして7時からコンサートは...始まりません。
三川村長の挨拶です。
三川村は来年4月、周辺3町村と合併して「阿賀町」になるので、これが閉村のイベントだということ、伊藤多喜雄さんには昨年もおいでいただいて(知らなかった)などの話を延々とされ、次こそはと思ったら、今度は新潟市長の挨拶。私とおんなじ新潟市からきたんだろうけど、そっちは楽々で車できたんだろうなと、ちょっとこにくらしくもなる。
いいから早く始めろ。こっちは8時半には、帰んないといけないんだからあ。

そうしてやっとコンサートが始まりました。
曲目はよく覚えてないけれど、最初が「そうらん節」次が「津軽山唄(西どおり)」あとは秋田音頭とか八木節、すごくよかったのは韓国の歌でした。
歌詞はなにを言っているか分からないけど、韓国の節回しと民謡のこぶしが、とても合っていました。
あと、かきざきたけみちゃんという、秋田民謡の女の子が「三川音頭」を歌った時は、新潟市民の私には分からないけれど、地元の人はよく知っているらしく、大喜びでした。
こうしてどんどん時計が進み、気がつくともうすぐ8時半です。
もう一つ、11年前の札幌でやり残したことがあったんだけど、どうしよう、できるかしら?

最後の曲「いとしき大地」が終わってすぐ立って、うんと手を伸ばし、汗ぐっちょりの伊藤さんの手を、ギューッと握ってきました。
11年前もこんな風に、握手してもらっている人がいて、いいねえお花でも買っておけばよかったねえ、あそこに売ってたのにねえと、友達と二人で残念がったことがあるんです。
後に私が落語家さんに、お花とかお酒を持っていくようになったのは、この時の体験がネックになっているんです。
今日は手ぶらな上に一言もしゃべらないやつと握手することになって、伊藤多喜雄さんはどう思われたか分からないけれど、もう忘れているかもしれないけれど、私は11年分の思いがかなって、ほんとうに幸せでした。

コンサートの後は、伊藤多喜雄一座とみんなで、よさこいそうらんを踊りましょうというので、私は踊れないし、タクシーも頼んであったので、帰ってきました。
帰りは一番近い駅、東下条までお願いしますと言ったら、なんと8時35分にもう着きました!
こんなに近かったのに車を呼んですいませんと言い、運転手さんとお別れしてきました。
コンサートの時は陽が沈んでいたので、思ったほど暑くはなかったけれども、ほんとうに虫が多く、帰りの東下条駅でもは虫みたいのにたくさん愛され、、別にさされるとかそういうことはないんだけれども、はらってもはらってもくる虫が、ほんとうにうっとおしかったです。
やっと9時半になり、電車がきました。
そう、東下条駅で約1時間待った。
東下条駅は無人駅、私の家に一番近い駅も無人駅なので、ひょっとしてこれは、新潟まで無料で帰れる?と期待したのですが、ちゃあんと車掌さんがきました(汗)
またこんなイベントがあったら、いきたいなと思いました。

追信
新津駅のトイレで、すごくいいシステムをみつけました。
トイレに入って便座に座るやいなや「このトイレでは、人が便座に座るか手をふれると、自動的に水が流れまあす」という、放送が入るのです。
いつも駅やデパートのトイレなどで、水を流すレバーを探したり、どの壁をさわったら流れるか悩んだりしている視覚障害者は、きっと私だけではないと思うので、これだったら耳さへ聞えたら絶対分かるので、いいシステムだなと思いました。全国でとりいれてくれないかな。ミルク。