上海帰りのミル その2

 
「6時半だよ」と起され、あせって起きました。起床が6時半の約束だから。そうしたらまだ5時半でした。そう、中国は日本より一時間遅れているのでした。
もう眠れそうになかったので、そのまま起きて朝食。オムレツ、チーズと言ったら、希望のものを作ってくれました。あとはあげパンやおかゆやチャーハンなどでした。

8時に出発、ほんとは20分で太湖へ着くはずが、今は4月4日の清明せつ(お墓参りをする日、お彼岸のようなものかな?)の前であちこちで渋帯だそうで、8時半過ぎに太湖に着きました。。
いっちばん楽しみにしていた遊覧船は思いの外立派で、有料だけどコーヒーが飲めたりして、ちょっと困ったなと思いました。水をさわれそうにないから。ガンジス川の船のように、手を伸ばしてさわれる舟じゃないんです。だめもとでガイドに「水が冷たいか暖かいかだけでも教えて」と頼んでみると「今日の最高気温は18度」。いえ、気温と水温が一致しないことはガンジス川で分かったのよーとなおもくどいたところ、分かりましたと言って、なんと水をくんできてくれました。感激。
冷たい水に手を入れて、大満足でした。
きたない水だねとみんなが言っていたら、ガイドが「それは昔の太湖を知らないからです」
昔よりよほど奇麗になったんだそうです。
そうそう、ガイドがこんなことも言っていました。
「日本人といえば、上海とか粗州にばかり観光にいって、無錫へ来てくれないから、頼んで歌を作ってもらったですよ」
しまった、私はそれにひっかかってしまったのだ(笑)
中国の人は海をあんまり知らなかった。海といえば太湖のことだと思ってた。それくらい広い湖で(琵琶湖の三倍)、水平線が見えたりして、景色としてはつまらないそうですが、私としては美味しいコーヒーも飲めて、とても幸せでした。

次は真珠の工場へいきました。
「みなさんのためにこの貝あける。あけると間もなく死ぬ。かわいそう!やめようか?でも開ける」
せっかく死んでもらった貝なので、ぬるっとしたお肌と、中に埋まっている真珠をさわってきました。こういう貝は、真珠に栄養がいってしまっているから、食べてもまずいそうです。
真珠は形のいいのは、もちろんイヤリングや指輪になるけれども、形の悪いのは、クリームやお茶になります。形のいいのと悪いのもさわらせてもらったけれど、正直、小さ過ぎてよく分かりません。ただ、真珠のクリームは買ってきました。

次は泥人形の工場へ。
「日本人には要らないものかもしれないけれど、一応、無錫の名物です」とガイドが言うとおり、ほんとに要らなさそう(^_^;)ただ、さかだちしている赤ちゃんの人形はかわいかった。でも買おうとは思いませんでした。

次は錫恵園というお庭にいきました。
中国の第二泉という、有名な泉があります。
「二泉に入る月」という有名な曲は、ここを歌っているそうだけれども、私は残念ながらどんな曲かまるで知らないのでした。
庭を見た後、きゅうすの説明を受けました。石を粉砕して砂にして、その砂で作ったので、例えば3年くらい毎日お茶を入れていると、お湯だけ入れてもお茶の味がする。きゅうすの砂のすき間にお茶がしみこむから。そういうきゅうすなんですって。 

お昼は無錫料理ということで、細長い小さい魚のからあげ(ばかまず)まーぼー豆腐(めちゃ辛)鶏か牛か分からないお肉(パサパサ)と美味しいものがないように思ったら、甘じょっぱいお汁におこしのようなものが入ってて、と書いた感じは美味しそうに聞えないけど、これが一番美味しかったです。

さよなら無錫。ほんとはもうちょっとだけゆっくり居たかったな。ちょっとでいいけど。
バスに1時間乗って、粗州へいきました。
粗州で最初にいったのはこきゅう。
え?こきゅうは北京じゃなかったの?と思ったのですが、北京のこきゅうは個宮、粗州のそれは虎丘と書くんだそうです。
上からみると、この丘は虎がうずくまっているように見えるから。
入口は頭、階段を上っていくところは虎の背中、そして中国のピサの斜塔といわれている塔は、虎の尾っぽに見えるんだそうです。
「上まで駕籠20げーん」と言う声がして、いいなあ乗りたいなとも思ったけれど、うちのツアーはだれも乗らないので階段を上がるしかありませんでした。しかし20元と安いだけあって、こんぴらさんほどたくさん階段はありませんでした。

次は寒山寺。
昔、かきょうの試験に落ちたちょうけいという人がこのお寺に泊まって「月落ちて烏鳴き」まあ漢文は忘れたので普通の文で荒筋を書くと「月が落ちて烏が鳴いて、なんかふきつだよなあ。夜は眠れないしさ。なんて時の流れが遅いんだろうなあ」そういう詩を書きました。
その原文はないけれども、100年前に作り直した碑があって、ガイドの張さんが詩を読んでくれました。
そのちょうけいという人は、4年後にかきょうの試験を受け直し、今度は全国三番目で合格したのだそうです。

次はシルクのお店へ。
蚕の糸の固まりを、さあ引っぱってみましょうと言われ、4人くらいで引っぱったら、たちまち布団の大きさになっておもしろかった。
ここで母は、夏布団の中身だけを買いました。
カバーももちろんあったけれど、このカバーが高いの。
中身の真綿だけ買うと、5千円でそんなに高くはなかったし、真空パックみたいにして持ちやすくしてくれるというので、買うことにしました。

夕食もここのお店だというので、6時半まで自由時間。
ところがシルクのお店なんて、買うものもないし、ボーッと座っていたら、1階の方からお菓子を買って上がってくるうちのツアーの人を発見。そうか下へいけば、私に買えるものがあるのかと行ってみたら、お菓子はどうでもよかったけど、さっき買いたかった虎丘の絵葉書を発見。10枚で20元なので、あまり安くもないけれど(1元は13から14円)買うことにしました。

夕食の会場は3階だというので、今度は上に上がったら、パンダのぬいぐるみ発見。
探していたものだったので、狂喜乱舞(^_^) しかしこんなどでかいのは要らないのよーと言うと、小さいのを出してきて、私の手にギュッと握らせます。なんで握るのかと思ったら、握ると「アイラブユー」と言うんですね。
これでもいいと思いかけた時、もっと小さくて歌って踊るパンダのぬいぐるみを出してこられたので、そちらを買うことにしました。

夕食は春雨みたいなおかずがとても美味しく、あとはそんなに辛くないまーぼー豆腐やあまり美味しくないちゃーはん、お昼のほどは美味しくないおこしのようなおかずがありました。

ところで外国へいくと、食後、紅茶かコーヒーかと聞かれて、それもツアー代金に含まれているのに、ここではどうもそれはなくって、私の苦手なじゃすみんティーだけはいくらでもおかわりしていいのに、食後のお茶やコーヒーがないんですね。飲みたかったけれど、ホテルにコーヒーメーカーがあるというので、それを楽しみに帰ることにしました。

ホテルの部屋に、コーヒーメーカーらしきものはあったけれど、使い方が添乗員さんにも分かりません。それでボーイさんをつかまえて、ハウテューメイクコーヒー?と尋くんだけど、なんと英語が通じない。
添乗員さんにフロントへ聞きにいってもらったところ、コーヒーメーカーにみえたのは実は電機ポットで、コーヒーの粉はなく、ルームサービスで頼むしかないとのことで、普通なら我慢するんだけど
、もう飲む気まんまんで、気分が盛り上がっちゃってたので頼むことにしました。
やがてボーイさんが、コーヒーを持ってきました。25元、じゃなかった37元だというので、なんでーと思ったら、12元はルームサービス料なんですね。今は100元札しかないのと母が出すと、おつりはないという。明日払うからと言ってもだめだとがんばる。英語が通じないボーイさんが、立ったままどうしても帰ろうとしません。もうこのままボーイさんと一緒に寝なきゃいけないかと、泣きそうになった頃、添乗員さんがフロントで料替えしてきてくれました。
そこまでしてとったコーヒーはエスプレッソで、私にはあまり美味しく感じられませんでした。もっときつくないコーヒーを、寝る前に飲むと、とてもよく眠れるのに。