ベトナム旅行記 後編


旅行記その5 音楽

ベトナムの音楽だなあと思うものを初めて聞いたのは、二日目の夕食でした。
中国のそれと、インドネシアのガムランと、そして和太鼓を足してよく混ぜたそんな感じに聞えました。
なんの説明もなく次々に演奏され、またテープで流れる音楽に合わせて、女の子がなやましい踊りを踊る、そういうショーでした。
三日目、日程表にはなかったけれど、なぜか楽団がいて、日本の「北国の春」なんかを演奏していました。ベトナム人がよく知っている日本の歌は、どうやら北国の春とこうじょうの月ですね、どこへいっても演奏されます。
この時「ああベトナム国歌を演奏して欲しいなあ」と思ったけれど、例によってガイドも添乗員もいません。
通訳がないので、あきらめるしかありませんでした。
四日目、この日も日程表にはなにもなかったけど、夕食のレストランへ向かうバスの中で、ガイドから国歌という単語を紙に書いてもらいました。
それが「進軍歌」発音はチングンカーと聞えました。
果たして四日目のあのバカマズのフランス料理店にも、楽団はいました。バイオリンとギターだけの、今までに比べたら質素な感じだけど、私はルーマニアで聞いたジプシー音楽を思い出して懐かしかった。
楽団の人がこちらを向いた時、母に頼んで紙を渡してもらいました。
そうしたらすぐに演奏してくれて、でも私には分からないわけだから、ボーイさんがこの曲だよと教えてくれました。
「ベトナムわがまま歩き」の本には、進むとか負けないぞという、軍歌のような歌詞の訳が載っていたので、そういったメロディーを想像していたら、ごく普通の明るいメロディーでした。
残念ながら一節も憶えられませんでした。
ただ弾いてもらったってことだけ、憶えていようと思いました。

旅行記6 お金と買い物 

ベトナムのお金の単位はドンですよ、1ドルは 12,000〜15,000ドンですよ、一度ドンに両替してしまったお金は、円やドルに戻せませんよ、ということは聞いたけれども、何が幾らなのかさっぱり説明がなく、幾らくらい両替していいか分からず、ただ「再両替はできない」というのが頭から離れず、ほんとに困りました。バスの中にはもう、5000円分 60万ドンの封筒が人数分用意してあります。それより少ない両替はできないとのこと。
かなり悩んだんだけれど、二人で5000円分にしようということで、その封筒は一つだけ受けとることにしました。
で、いざ買い物をしたり飲み物をとると(私は総て食事付きのツアーにしました)案外、安くないのです。
旅サラダという土曜の朝やっている番組で、ベトナムにもいっていて「こんなバッグがなんと140円!」なんていう台詞をはいている芸能人がいたけれど、そんなものは私にはみつけられませんでした。
ジュースは安いレストランで1ドル半、高い所は3ドル半で、日本とかわらないくらいだし、Tシャツは8ドルのを買いました。
値切るものだよとガイドブックにはあっても、普段そんな生活はしていないので、ついつい言い値で 買ってしまうのでした。

以下、私が買ったものやおもしろかったお土産物を紹介します。
まずはベトナムへいく前から楽しみにしていた、アオザイを作りました。下がズボンなので動きやすそうな洋服だったから。既製品だとオデブの私には着れなさそうだったので、始めからオーダーする ことにしました。最初にいった免税店で、作りたいと言うと、たちまち服の上からあちこちサイズを測られました。
測った後、女の子がプニャプニャッと私のサイズを言ったけれども、一言も分からないので恥ずかしくありませんでした(笑)ウエストやバストはもちろん、肩とわきの下の周りや、あしのももの所など、なかなかおもしろい所を測られました。
三日目の夕方できあがってきたんだけど、なんとひじが曲がらない。
部屋から電話して、母が日本語の分かる人にかわってくれと言って、日本語で文句を言ったところ、店の人がすぐ来て、サイズを測り直してくれました。
そういえば最初に測る時、ひじの周りなんか測らなかったわよね。
そして四日目、ようやく夕食の時に着て出かけることができました。
紺色で、私は気にいっています。

免税店にいっても、最初はアオザイだお菓子だってよろこんで買っていたけれども、3軒目4軒目に なると、さすがにうんざりして、スーパーマーケットにいきたいと言ってもガイドは 無視しました。ああそうか、最初の日に大統領官邸で買い物をさせてくれなかったのは、ガイドがマージンをもらってない店だったのね。
ほんとは漢方薬の店にもいかせたかったらしいけれど、添乗員がなんとか断わってくれました。
このガイドの魂胆が分かってからは、なるべく買い物しないようにしました。
とはいえ美味しいお菓子は高かったし、安くてもまずいのは買う気になれませんでした。
一つガイドから買い物を助けてもらったのは、葉書を買う時でした。
郵便局の前で6セット1000円で売っている女の子がいたけれど、そんな6セットもいらないし、郵便局では今度は、葉書がどこで売られているか分かりませんでした。
ガイドに聞いて、探してもらって買ったら、1セットなんと日本円で60円。
ドンだと6,000ドンです。外の半額以下です。
これはガイドに助けられました。
葉書を日本に出すと7000ドン、モスクワに送ると 8000ドンでした。
1セットでも10枚入っているので、これで充分でした。

驚いたのは、新潟空港に帰ってから「ベトナム土産の買い忘れはございませんか?」と売っていたこと。
あと新潟空港に、ロシアのマトリョーシカや、私の好きな韓国のりが売られているのにも驚きました。空港になどめったにいかないからと、母に頼み込み、のりを買ってもらいました。
ものすごく美味しいですよ。
これもやはり新潟空港に売られていておもしろかったのが「気分は村治」という自動ギター演奏装置。
ギターというより電子ピアノの音に聞えたけれど、2500円だって。自分で買うのは少しもったいないけれど、もらえたらうれしいだろうなあと思いました。
ただ、ベトナムへきた記念に、私の好きな小さなぬいぐるみを買いたかったのに、そんなものはどこにもありませんでした。
店員さんに聞こうにも、母がぬいぐるみの英語を知らないというし。
あきらめるしかありませんでした。

あんなに心配した5,000円分のドン、60万ドンは、帰る頃には 8,000ドンになりました。私の後から、ベトナムに来る知り合いがいるので、その人に頼んで私にエアメールを出してもらおうかとも思ったけれど、母が「そんなこと頼むんじゃない」と言うし、空港で8,000ドン分のピーナツ菓子を買いました。
冷蔵庫に貼る果物の形の磁石も8,000ドンで、どちらにしようか迷ったけれど、結局食べられるものにしちゃった。けどこの迷う作業が、とっても楽しい最後の買い物になりました。

旅行記エピローグ 

今頃なんですが、ホーチミンはどういう所か書いてみます。
戸籍に登録している人口は500万人だけど、実際は800万人といわれていて、とにかく町中がうるさいです。バイクの音と、クラクションの音がすごいの。日本のように「クラクションとかならさんとこう」という考えはないみたいです。
それと物を売る子どもの声また声。
15個で千円とかいって、扇子や帽子、Tシャツを売っていますが、品物が悪いので買わない方がいいそうです。
でもうちのツアーは、買っている人もいましたが。
北ベトナムのハノイには四季があるそうだけれども、 ホーチミンは雨期と乾期しかありません。
2月は乾期、私がいった時も一粒の雨も降りませんでした。
日本との時差は2時間遅れで、ホーチミンへいくにはいきが6時間、帰りは4時間50分くらいです。
気温は毎日34度で、5月とか6月に比べれば...涼しいそうです。
だから自由行動の時間があっても、とっても炎天下を歩く気になれず、スーパーマーケットをみることができませんでした。それが一番の心残りかな?
ベトナムにまたいくつもりはないけれど、今度もし行くことがあったら、フリープランにして、高くってもガイドを雇い、好きな所だけ連れていってもらおうと思いました。

それと、今回初めてやったことがあります。
ホテルから日本に電話をかけたこと。
ガイドブックを読んでもらって、その通りにしたらすぐかかりました。
別に家族と話したかったわけじゃなく、家のビデオと話したかったのです。
ビデオに電話がつながっているので、電話からラジオの録音の設定が できるのです。
テレビの録画はGコードがあるけれども、ラジオはそうはいかないので。
まあそういうわけで、電話料金の安そうな夜中に電話したら、チェックアウトの時聞いたら15ドル62セント。
部屋の果物も食べたし、市内電話もかけたのにこの値段で、まあまあ安かったと思いました。
モスクワであんなに電話に苦労したのが嘘のようでした。
ただベトナムはまだ携帯は少なく、ガイドの携帯の音しか耳にしませんでした。

あともし私のように、ソイチェンホンを食べたい人がまたいたら、ミトに行ってみるといいよって教えてあげたいです。
ホーチミンの屋台にもあるとNHKの人は言うけれども、一度もみなかったと母は言ってます。
私の旅行記に書くよりも、ちゃんと公の本に載せて欲しい。

今回の旅行は、現地の人と会話を楽しむっていう私の楽しみが、全くありませんでした。
うちのツアーも、フリープランの方には若い人も何人かいたけど、まるごとプランには若かった人たちばかりで、話したい人もいませんでした。
悪い人じゃないんだろうけれども、私や母や家族のことを根ほり葉ほり聞くおばさんにうんざりしたり。
ただ飛行機が久しぶりに日本の飛行機だったので、機内では言いたいことが言えて、下りる時に耳が痛いので熱いおしぼりを持ってきてと頼めました。
同じことを外国の飛行機で頼んだら、冷たいおしぼりを持ってこられちゃって、あれでは全然効かないのでがっかりでした。
今回もやはり耳が痛かったけれど、おしぼりがないよりは楽でした。

南米にいきたいと思っていろいろしらべていたけれど、やっぱしピストル強盗にはあいたくないとやめてしまい、ディズニーランドにいきたいなとロサンゼルスも考えたけれど、一番近いホーチミンになりました。
でもやっぱりかたことでも話せる、ロシアがいいなと思いました。
こんな文でも、これからベトナムにいく人の参考になったら、すごくうれしいなと思います。