2002/12/28 第11回扇辰落語会

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 12月28日(土)、池ノ端「古月」にて丸1年ぶり、そして真打ち昇進後、初の扇辰落語会。
 これが扇辰師匠の2002年の仕事納めなので、年内の開催がギリギリ間に合ったという感じ。
 今どき木戸銭が一万円というバブリーな落語会ゆえ、毎度のことながら早川席亭は客集めに苦労した様子で、今回は客層もかなり変化している。

 前座の前座は99年11月26日に「鴎外荘」で開催された「早川光・新著出版で笑う会」でデビュー以来、3年ぶり2度目の高座となる水谷さん。今年は自転車で日本を縦断したというヒマな人で、さすがに精悍な顔つきに変貌している。

 会場が「古月」のときはいつものことながら、料理がすごい。今回もすっかり「ラムしゃぶ忘年会」の様相を呈し、存分に飲んで食べて、もはや落語なんざすっかりどうでもよくなってしまうほどの充足感。
 ところが星さんの笛の音が響いてくると、おいらの場合は出演者だったころを思い出し、条件反射で緊張感が高まる。
 しかし、なにしろ今回は出なくてもいいただの客なのですっかり酔っ払っていたのと、水谷さんの「やかん」をかなりハラハラしながら聴いていたので、高座の写真を撮り忘れてしまった! たぶん月本さんが撮ってると思います、ゴメン〜。

 次はプロの前座、入船亭ゆう一さんの「真田小僧」。水谷さんの芸が、おいらと違ってなまじ正統派なので、かえってアマとプロの力量の違いをまざまざと見せつけられる。

 トリはもちろん扇辰師匠の登場。演目は、なんと第1回のときにネタおろしをした「片棒」。
 一種のホラ話なので、オーバーアクション気味の演技が要求されるネタである。
 5年半も前に聴いたときの印象はさすがに忘れてしまったが、おそらく今回に比べると、かなり無理があったはず。
 もちろん当時は扇辰も若かったし、この会も初めてだったし、「はん亭」の異常に暗い雰囲気もあって、たしかにやりにくかっただろうとは思うが、さすがに真打ちになった扇辰は、滑稽話を演じるときの「わざとらしさ」「不自然さ」などの当時の欠点を完全に克服している。

 この人の芸は基本的にジジ臭いので、やはり実年齢を重ねることの意味はとても大きい。そういう意味では、これからよくなる一方の芸人さんである。
 ゆくゆくは、二つ目時代に落語対決をしたことがおいらの生涯の自慢になるような、そんな大看板になっていただきたいものである。