2012/7/23,30 氷あずき食べ歩き

 
7月23日(月)

おいらは夏バテでも食欲には影響しないタイプなので、神田のとんかつの名店「やまいち」へ。
まだお昼前で空いていたが、カウンターではとんかつマニア風の男性がすでに特ロース定食を、ソースではなく塩で味わっていた。
おいらも上等の天ぷらは塩で食べるが、まだとんかつを塩で食べる境地には到達していないので、同じ特ロース定食を大量のソースでいただく(笑)。

税込みでジャスト2千円なのは変わらないが、カツが少し小振りになった感じ。
必然的に、最初から一口大に切ってくれてある、その一切れ一切れも小さくなっている。
それをほうばると、大げさに言えば焼き鳥のハツのような、豚ロースとは思えぬ「カリッ」とした歯ごたえだった。
けっして肉が固いわけではない。噛みしめると柔らかくてジューシーなのに、歯触りだけが「カリッ」としているのだ。豚肉がそういう質なのか、揚げ方が「やまいちマジック」なのか?
ご主人が「勝漫」にいたころのような個性を主張するワイルドな味ではなく、和食として洗練された肉料理という趣が出てきた。これはたしかにソースじゃなくて塩でも合いそうだ。
昔のワザは「勝漫」への置き土産とし、自身はさらなる進化を求めているようだ。

以前ならこのあとのデザートは万惣の白桃パフェか、御徒町・福助の氷あずきで鉄板だったのだが、どちらも閉店してしまい、東京の夏のお楽しみの1位と2位がなくなってしまった。
とりあえず地下鉄で浅草へ行き、観音様の境内で1時まで時間をつぶして、観音様の裏の通りからさらに1本奥の路地にある「梅むら」の氷あずきを食べに行く。

ほとんどテイクアウトの豆かんで商売が成り立っているであろう、豆かんで有名なお店。
おいらが店内でひとりで氷あずきを食べている間にも、近所のおじさんやおばさんが「豆かん6個」「あんみつ5個」などと買いに来ていた。

あずきが氷の下敷きになっている、スタイルとしては正統な東京風氷あずきだが、その盛りっぷりがすごい。雪のような細挽きで、シロップは少なめ。したがって氷自体はほとんど味がなく、容器の底の方からアンコをほじくり出して氷と混ぜながら食べる。
ゆであずきではなく、あんみつに使うつぶあんを流用したものと思われるが、そのわりにはあずきの煮具合がアルデンテでしっかりと豆の味がする。人気の豆かん同様、つぶあんもあずきそのものの味を尊重しているようだ。

浅草からつくばエクスプレスで秋葉原に移動し、神田明神前の天野屋へ。
お土産屋さんの向かって左側に喫茶部があり、レロトな空間でかき氷が楽しめる。
ここに入るのは実は今回が初めて。

氷の上に申し訳程度にあずきがトッピングされている。
アンコではなくちゃんとゆであずきだが、色の薄い、赤っぽいあずきで、シロップが多いせいか、かなり甘味が強い。しかし昔は甘いこと自体が御馳走だったので、そういう意味では伝統的な東京風氷あずきと言えるのかもしれない。
氷は中挽きで、3分の2ぐらい食べた時点で残り3分の1はほとんど液状化現象。
しかしおいらはこのグズグズが好きなので、梅むらよりは天野屋の方が好みではある。

帰宅してから撮影した梅むらのテイクアウトの豆かん。
豆かん自体、扱っているお店はそう多くはないが、その中でも梅むらの豆かんは豆のボリュームと風味が他店のものとは明らかに違う。
付属の蜜は甘さ控えめで、ふっくらとした赤エンドウ豆のほんのりとした塩味とほろ苦さを引き立たせてくれる。
うまくて、あっという間に食べてしまうよ!

 
7月30日(月)

命に関わる猛暑なので遠出を避け、武蔵浦和で乗り換えて西浦和の「和吉」へ。
ひとつしかない改札口を出たら直進し、突き当たりを左折して30秒ぐらい。

かわいらしいお店で、店内のショーケースにはテイクアウトのあんみつや和菓子が並び、フロアは和風喫茶になっている。

氷あずき(700円)。ルックスが非常に素晴らしい。

栗がトッピングされ、底の方には白とグリーンの白玉が4〜5個入っている。
他店なら「白玉氷あずき」で注文しないと白玉は入ってこないので、これを他店の氷あずきと比較するのはフェアではないが、きょうは昼食前のいきなりの氷あずきなので白玉のボリューム感はとりあえずうれしい。
あんみつにこだわっているお店らしいのでそれも改めて食べに来ようとは思うが、粗挽きのかき氷にかかっている白みつも甘すぎることなく、柚子のような香りがして、スイーツとしての完成度が非常に高い。

西浦和から南浦和で乗り換え、浦和駅から徒歩5分ぐらいの「藤屋」へ。
(しかしいろんな浦和があるな〜。)
お昼時で、浦和マダムやサラリーマンがほとんど「きしめん」か「冷やしきしめん」を食べていた。看板にも「お赤飯 きしめん」とあり、ここの名物のようだ。

非常にシンプルな氷あずき(730円)。
もちろん底の方にもあずき(と言うよりもアンコ)がいっぱい。
氷は中挽きよりやや細目だが、粉雪タイプとまではいかない、ちょうどいい感じ。
シロップにほんのりお酒っぽい風味がある、なんとも不思議だが上品な味。
おいらは氷あずきに関しては「アンコ」より「ゆであずき」派なのだが、ここのアンコは最後のグズグズ状態になるとあずきだけ残るしっかりしたつぶあんで、とてもおいしい。

いま思えば藤屋できしめんも食べればよかったのだが、別の店でゴハンを食べたら満腹になってしまい、浦和駅前のコルソ1階にある「ときわだんご」の氷あずきは今回はパス。

東京の下町の氷あずきは単に昔通りにやってますという武骨なものが多いが、まだ2軒しか回ってないが浦和の氷あずきは洗練されていて、それなりにいいお値段ではあるが、和の高級スイーツといった趣だった。