ハミルのソロ・パフォーマンス2枚組、全19曲。
このCDは1992年にオーストリア、ドイツ、オランダの3カ国9会場で行われたライヴから選りすぐった音源を、ひとつのショウの形に再構成したもの。つまり、ハミルの「典型的(TYPICAL)ライブ」なるもののひとつのシミュレーションである。こうした作業自体、実際はハミルに「典型的ライブ」などひとつも存在しない証拠であり、「TYPICAL」とはいかにも逆説的なタイトルである。
それはともかく、92年と言えば「Fireships」を発表した年(44歳)で、まさに脂が乗りきったハミルの熱唱を堪能できる。
今ごろになって発売された理由については、ハミルは自分のステージの録音をすぐには聴かないタイプで、そのうちテープが膨大な量になってしまい、やっとチェックし終わったのが98年だったというのが真相のようである。