パラオの旅 四日目

 
6月25日。
私は今日は、イルカとデート、それ以外はなんの予定もないので、朝食後は部屋でごろごろしていました。外に出たくても、ものすごく暑いのです。加えてものすごい湿気、まとわりつくような空気です。
母もあまり歩けないし。それではせめて、ホテルの1階の売店へ遊びにいき、ジュースを買ってきました。イチゴミルクとマンゴージュースは美味しかったけれど、パインジュースは、日本にあるパインの缶詰めの汁をそのまま飲むような、いやあな甘さだと分かりました。
そんな研究をしているうちに、11時になったので、部屋にあるインスタントコーヒーを、母にわかしてもらい、昨夜の残りのお弁当とサンドイッチで、軽いお昼にしました。パラオのお弁当は、とにかく量が多いのです!サンドイッチも、大ざっぱな味で美味しくはありません。ホテルの朝ごはんに出た平凡なクロワッサンが、パラオで一番まとも?なパンでした。
いっぱい食べて昨日でこりたから、今日はこれくらいにして、水着を着て、上から服を着、12時20分に、ホテルフロントに集合しました。といっても、イルカツアーにいくのはうちのツアーでは私と母だけ。ドルフィンパシフィックという施設は、ここから歩いて5分なんだけど、それでも母では心配なので、添乗員さんに連れていってくれるよう頼んだのでした。
「4時頃終わるそうですから、また迎えに来ますよ」よかった、この暑い中、母と迷子になったら大変だ。「真っすぐな道なんですよ」と言われても、うちの母だから(汗)

12時半にドルフィンパシフィックに着くと、よかった、日本人の女性がいました。
今日は添乗員もガイドもいないって知っていたので、正直不安だったんだけれど、彼女がずっと、私の通訳をしてくれて、すごく安心しました。
「今日のイルカツアーの日本人は、あなただけです」と言われ、寂しいとも思ったけれど、考えたら通訳さんを独占できて、イルカ以外にいろんな話もして、楽しい時間でした。
このドルフィンパシフィックに、イルカ用のプールがあるのかと思ったら、違うんですね。今日も海なんです。驚き。ボートで出かけていって、海を囲んでプールみたいにした所へ、まずいくのです。それから、ライフジャケットや足ひれをつけるんですが、船に乗る前、ここで足ひれやジャケットを借りました。この時初めて、この通訳さんに、ライフジャケットの着方を教わりました。昨日教わっておけばよかったけれど、でもまあ、憶えておきます(汗)
足ひれは、脱げないようなやつを選んで下さいと言われ、少々きつめのを選んだら、後で足が痛い痛い。座ったり立ったりするのが、足ひれをつけたままだとすごく大変でした。
プールに入るのに、足ひれなんて要らなさそうですが、これがないと、イルカが違うプログラムのお客さんと間違えて、足を押してくるんだそうです。その「足を押してくる」というプログラムも、いつかやってみたいものです。
そんなわけで、ライフジャケットと足ひれを、5ドルで借りました。
とにかく、イルカとのデートはお金がかかるのです(ボソ)

ボートに乗ってプール、というか囲まれた海に着き、ここでまず服を脱ぎ、続いて施設の説明を受けました。
ここはバリアフリーで、車椅子の人もイルカにさわれるんだとか。
でも、点字はどこにもなかったし「今はエレベーターがこわれているだけ」とはいえ、1階から3階をめまぐるしく階段で動くのは、母にはきつかったようでした。
次にイルカにさわる時の注意。
目・鼻・口にはさわっちゃいけないこと、プールの縁にある青い板に、正座、というか座ってさわるのだと教わりました。
「握手かキスかどっちがいいですか?」と尋かれ、え、両方じゃだめなの?と少しがっかり。
一つしか選べないならば、もちろんキスだなと思いました(笑)
そうしている間にも、レイラちゃんというイルカが、頼んでいないのに水をかけてくる。やだなあ、ちょっとこわいわと、少しだけ後悔しました。
日本人は私だけだけど、パラオ人のお客は15人いたそうです。パラオは今、もう既に夏休み。子どもたちが「どっか連れていけ」と言って、じゃあイルカでも、ということになったのでしょう。パラオ人はこの、イルカにさわるコースは、無料なんだそうです(私たちは30ドル)。
順番を待って、やがて私がさわる番になりました。
私がさわったのは、アリエルちゃんという雌のイルカで、トレーナーさんが指示しているんでしょうが、最初は背中、次にお腹をさわらせてくれます。
この時は、片手でさわらないといけないそうです。
やがて運命の?キスの時間になりました。
私は正座して、そしてぐっと顔を右横に下げます。あまり顔の位置が高いと、キッスがパンチになってしまうそうで、なるべく下げます。
感じとしては、ホッペに棒があたったな、という感じでした。
私にキスをしたご褒美に、イルカはシシャモをもらうんだそうだけれど、そのシシャモのにおいがすごかったかな?
ちなみにこの、イルカにあげるシシャモ、子持ちシシャモは絶対あげないんだそうです。カロリーが高くなっちゃうから。

次は、イルカと一緒に泳ぐコースです(一人80ドル)。
これは、パラオ人は受けられないんだそうです。
この泳ぐコースは、シンフォニーコースというらしいんだけど、この日シンフォニーコースを受けるのは、私と、あとは韓国人が二人、全部で3人でした。定員は7名だそうです。
このシンフォニーコースは、三つに分かれていて、まず一つは、イルカにさわる。今度は両手でさわっていいそうです。なるべくイルカを脅かさないよう、そっと海に入り、右手を出して、イルカが近づいてくるのを待つそうです。私の時は、アリエルちゃんとエコーちゃん、AKちゃんという、全員女性?のイルカで、ほんの一時期、二頭まとめてさわれました。
二つ目は、水に顔をつけて、イルカの水中での声を聞く。これは、顔をつけるのがこわくて、できませんでした。じゃあせめて、イルカが泳いでいく圧力を感じて下さいと、泳ぐイルカの横に立ってみました。
最後の三つ目が一番難しいんだけど、イルカの背びれにつかまって泳ぐ、という、私が一番やってみたかったやつ。
イルカがきたら、さっと背びれにつかまって、だけど握るわけではなく、大切なのはひじを曲げないこと。ひじを曲げると、イルカに体重がかかってしまうんだそうです。
ところが、右手でつかまって、左手もさっと伸ばしてつかまらなきゃならないんだけれど、私は昨日からすごい火焼けで、左肩にくいこむ水着の肩紐と、ライフジャケットの縁が痛くて痛くて、なかなか手が伸びません!その間に、イルカが通り過ぎてしまいました。
もうだめかと思ったら
「なあにをやってるの、来ないの?」
と思ったかどうなのか、イルカが戻ってきて、やっと両手で背びれにつかまれました。
でも、一緒に泳ぐのはほんの数秒で、すぐ終わりになりました。
今度これをやれる時は、もうちょっと火焼けしていない時に来よう!

プログラムを終えて、母の所に戻り、とにかくこの、歩き難い足ひれとジャケットを取り、母に写真を見てもらいました。先ほどのイルカとのキスシーンを、撮ってくれていたのです。私が「買う」と言ってから、CDにやくのだそうです。私としてはプリントアウトして欲しかったけれど、今はこういう時代なんですね。まあまあよく映っているそうなので、買うことにしました(15ドル)今夜ホテルに、CDが届くそうです。

こうしてまたボートに乗り、ドルフィンパシフィックへ戻ってきたら、じきに添乗員が迎えにきてくれて、また歩いてホテルに帰りました。
普通の通りを水着で歩くのは、どうかと思ったけれど、濡れた水着の上に服を着るのも気持ち悪かったし。
ホテルに帰ると、日本人スタッフが「イルカはどんなさわり心地でした?」と尋いてきました。私がどこへいってたか、知ってるのね。「ゴム長」と応えると「みなさんそうおっしゃいます」だそうです。ほんとに、ゴム長の手ざわりです。アリエルちゃんは、尾びれの近くに、ボートのスクリューにやられた傷があるそうで、そこもさわってきました。
なお、アリエルちゃん本人に確認できないので(笑)はっきりは分からないけれど、もしかして妊娠しているかもしれないそうです。なあんだあ、私は彼氏持ちとキスしたのか。少し残念だ。

お昼が軽かったので、5時頃からもうお腹が空きました。
実はこのホテルに着いた日、22日にもうもらってあったんだけど、ウエルカムドリンクの券がありました。もう明日帰るから、さよならドリンクだけど、この券を使いがてら、ホテルの1階のバーにいきました。
パイナップルジュースを注文し、夕食は、パラオ産野菜のオーガニック風てんぷら添え、という、てんぷらそばにしました。パラオは野菜は穫れないはずなんだけど、どんな野菜だろうと思ったら、エビといんげんと人参と魚のてんぷらでした。そのエビ以外のてんぷらは、あまり美味しいとはいえませんが、おそばの味は、日本のそれと全く同じ。冷たいおそばが、とても美味しかった。これで15ドルでした。
母は好物のピザを食べ、こちらはものすごい量で、13ドルでした。やはり日本食は高いのね。
デザートはパンナコッタを食べたんだけれど、まだお腹に若干の余裕があったし、ピザはどうも私の好みでなかったし、レモンチーズケーキ、いや、チーズレモンケーキだったかな?それをとりました。上はフワフワのムース、下はサクサクのタルトで、ほんのり酸っぱくて、パラオで食べた一番美味しいケーキでした。
実は昼間、イルカのトレーナーさんというか通訳さんが「ロイヤルリゾートホテル?あそこのケーキは美味しいですよ」と言っていたので、食べてみたのです。ほんとに美味しかった。朝ごはんに出るケーキも、このくらい力をいれてくれ(笑)
夕食後お風呂に入ったら。あらら、また痛い所が増えた!今度は両足の膝も、痛くなっていました。なんだかもう、日本に帰りたくなりました。