梅むら(浅草 豆かん)

おしるこ、あんみつ、クリームソーダ、夏は白玉入りの氷アズキまで、とにかく一通りの甘いものは揃っているのだが、とにかくここは「豆かん」が有名なお店。10個ぐらいまとめ買いするお客さんが絶えない。

 1998年8月26日

 バス停「上野公園前」(不忍の池のほとり、鰻の「伊豆栄」の前の通り)から出ている「上26」系統の都営バス「亀戸駅行き」は、下町ファンにはとても便利。なにしろ上野広小路、湯島、池之端、根津、谷中、上野桜木、下谷、入谷、浅草と、名所をもれなく回っていくからである。
 梅むらへは「浅草三丁目」で下車。
 もっとも、バスでなければ行けないほど不便な場所というわけではない。このへんはちょうど浅草寺の裏であり、浅草寺までお参りに来た人だったら、梅むらまではあとわずか。じゅうぶん浅草の散策エリア内である。

 「あんみつは好きだけど、中に入ってる豆がキライ」などと言うバチ当たりな女性がときどきいるが、逆にあの豆が好きな人は、あの豆だけをスプーンでバクバク食べてみたいという思いにかられたことがあるはずだ。でも、そんなものはあんみつ屋でもなかなかお目にかかることができない。
 しかし、そもそも「みつ豆」とは、赤えんどう豆を煮て、それに蜜をかけたものが始まりであるらしい。つまり、もともとは豆だけをバクバク食べるものだったのだ。
 のちに、それに賽の目に切った寒天を入れるようになったのが「豆かん」である。したがってみつ豆やあんみつ、クリームあんみつの先祖と言えるだろう。
 逆に言えば、あんみつからあんこや求肥やフルーツなどの飾りを全て取り除いたものであるわけだから、当然、いっさいのごまかしはきかない。豆の味が勝負である。だからメニューに「豆かん」のある店が少ないのである。

 梅むらの豆かんは、さすがだった。いい豆である。黒蜜もとても上品で、サッパリとしているのがいい。
 氷あずきも食べてみた。福助よりは甘いが、それでも甘すぎるということはなく、とてもおいしい。