1997/4/25 第1回扇辰落語会
お座敷でうまいものを食って、そのあと期待の若手落語家・入船亭扇辰(いりふねていせんたつ)の古典落語を堪能しようという、「第1回扇辰の会」が4月25日、根津の「はん亭」で開かれた。
会場の「はん亭」にはテレビ東京「土曜競馬」の元アシスタント、松田京子さんの姿も。
座亭は早川光監督、おいらはスタッフとして参加。出囃子のラジカセはるみちんのを借りて行った。
入船亭扇辰は早川監督のお兄さんの友人の弟さんである(ヤヤコシイ)。古典落語が衰退しつつある現在、若手ながらかなりの技量を持っている。まだ二つ目だが、ヘタな真打ちよりはよほどウマイ。
ただ、この扇辰にも欠点がある。おもしろくないのだ。あまりドッカンドッカン笑いがとれる芸風(あるいはキャラクター)ではない。
そこにつけこんで(?)なんと素人が前座として同じ高座に上がり、客にどちらが面白かったかを判定してもらうという、「扇辰に挑戦!」なるコーナーがこの企画の最大の目玉である。
噺を忘れ、笑ってごまかす小川。
第1回の挑戦者はフリーターの小川くん。おいらとも長い付き合いだ。
彼は高校時代に落研の副部長だった。部員は2人だったそうだが・・・
チャキチャキの下町っ子であり、地方出身の扇辰よりも口調などははるかに江戸落語向きだ。我々はひそかに、柔道の小川のような番狂わせをも期待していた。客は出版ギョーカイ関係者が多いが、一部を除けば落語に関しては素人ばかりである。小川にもチャンスはあったはずだが・・・
結果は、なんと小川が高座で頭がまっしろになってしまい、絶句に次ぐ絶句。アガリまくってしまったのである! 2万円の貸衣装が泣いてるぞ、小川!
「片棒」を演じる扇辰。この日がネタおろしだったそうだ。
一方のプロ・扇辰は、「片棒」という噺を、お願いした30分という制限時間の中でピッタリと収め、出来もおいらが今まで聞いた中では最高。
判定はご祝儀袋の数で決める。おいらは、多少まずくても千円包んで小川に投票するつもりだったのだが、あまりにも歴然とした差を見せつけられ、断腸の思いで扇辰に二千円包んだ。14対5で扇辰の勝ち!
扇辰の演技中も、まだ呆然としていた小川。
扇辰の会は、今年はあと7月と10月の開催を目指している。なんと、第2回の挑戦者はおいら、としちんである!(第3回は早川監督の予定。)