わたくし西の方へ旅に出ます その1

 
8月の元町寄席に桂小春団治さんが出ると聞いても、うーん、お盆が近いなら飛行機代が高いよね、と、乗り気ではありませんでした。でも「そうだ、高校野球を一度なまでみたかった。小春団治さんのついでに、暑いけどみてこよう」そう決めたらすぐに、飛行機の切符を買いにいき、3年間でやっとためたマイルで、買うことができました。3年分でも、大阪とか名古屋とか、せいぜいベトナムとバリしか行ってないので(ロシアとか韓国は、みんな違う航空会社でした)大阪行きの切符の片道にも足りなかったんですが、それでも安くなってうれしかったです。

そんなわけで8月10日。新潟市はどしゃ降りでしたが、お陽様ガンガンの伊丹空港に着きました。三宮までバスでいったんですが、道路のこむことこむこと。予定ではない湾岸線を回りますとのことで、そちらへいったら、他の車もそちらへいったらしく、すごい渋帯。他の人も「遅れるから」と電話していたし、私も、向こうで待っているであろうちはなさんに「渋帯にはまった。いつ着くかも分かんないけど待っててね」などとメールを書いていました。

40分で着くはずが、70分後に三宮到着。
ちはなさんが待っていて、一緒にバラライカまで歩いていきました。
このバラライカ、2年くらい前に教わったロシア料理屋さん。駅から少し離れているので、汗びっしょりになりました。けれど駅から遠い分、浅草のマノスより、ペリメニがうんと安かった。ペリメニ二皿と、あとは母のアイスコーヒーをもらって飲みました。

ちはなさんっていうのは、実はミルク亭を読んで私にメールを下さった人で、私と同じ宗助さんファン。でも「一番好きなのは米朝さん」と言われて、なんだか少しほっとしたりして?
パソコンが雷でやられて、携帯しかないので、情報がないのよーと寂しそうにしているので、私の携帯にあった「ねたのたね」のアドレスをメールしました。目の前に居る人にメールするって、不思議な気分ですね。

2時過ぎにバラライカを出て、今度はカスカードというお店へいきました。
ここ、何屋さんか分かってなかったんですが、パン屋さんなんですね。知らない名前だったので、スーパーかコンビニだと思っちゃってました。
ここでは、神戸独特、桂あやめさんの落語のまくらに出てくるメロンパンを買いにいったのでした。案内してくれたちはなさんは京都の人ですが「カスカードは私もよくいくけど、こんなパンは知らない」と驚いていました。案内してくれたお礼に、ちはなさんに一つ私に一つ買って、お店を出ました。餡の入っているメロンパンだから、きっと私は好きじゃないと思う。でも、話のたねに食べてみたかったんです。

阪神の三宮駅まで案内してもらったところで、ちはなさんとお別れ。
とっても静かな声の、おとなしそうーな人で、何を話していいか分からなかったけど、彼女のお陰で、この全く地理が分からない三宮を、スムーズに歩けました。
甲子園は西宮乗り替えと、もう電車でアナウンスしていましたから、そのとおりに西宮で急行に乗りかえ、一駅で甲子園に着きました。野球場はどこですかと尋くまでもなく、駅のすぐそばが球場でした。

外野は無料と聞いていたし、何分もいないんだから無料の席に座りたい。そう思っておねえさんに尋ねると、18番か19番からお入り下さいとのこと。そこは11番だったので、ずんずんずんずん歩いて、やっと18番に着きました。
中に入り、階段上のところにあるべんちに座りました。
ちょうど高知高校と、日大三校の試合でした。
できたらこの前の試合に間に合いたかったけれど、でもさしずめ私の気持ちは、高知高校のようでした。
「来れると思わなかった。来てよかった」
ラジオをつけても入りがあまりよくなく、実況はとぎれとぎれだし、みんながワアーと騒いでいるからヒットかと思ったらチェンジだったり。母も「選手なんか遠ーくにいて見えない」と言っていました。もっと、母の声なんか聞えないくらい応援がうるさいのかと思いきや、その応援の声や音楽もはるか遠く。
4たい0で日大三校が勝っているというスコアだけ分かったところで、甲子園を後にしました。
売店を最後に覗いたら「本日出場校のキーホルダー」というのがありました。ああ、昨日きたら明訓のがあったのかなあ。

またさっきの電車に乗って、三宮の一つ向こうの元町へ戻りました。
元町駅を降りて、さて神戸プラザホテルはどこですかと尋こうとして、見えた。駅のすぐそばでした。
まだ4時半で、落語会には少し早かったし、水を浴びちゃったかと思うほど汗をかいたので、お風呂に入り、髪を洗ってTシャツを着替えました。
部屋はとっても狭く、お風呂のお湯の出し方が単純で、新潟のJALのおねえさんはいい所を教えてくれたなと気にいりました。部屋が狭くて喜ぶのは、私くらいでしょうか? 手を伸ばせばみんな簡単にとれて、迷わずにトイレへいけて楽なのです。

早めにおいで下さい、申し訳ないけれど非常にこみますと言われていたので、5時15分にホテルを出て、途中、ヤマザキデーリーで夕食のおにぎりを買い、いざ風月堂ホールへ。
6時半からの会に、なんで5時半にいくのと、母にブーブー言われましたが、着いてみて、地下2階から1階まで続く行列をみて、納得してくれました。そう、会場は地下2階なのです。なので一番前にはもう座れませんでしたが、前から2列目が一つ空いていたので、そこに私、その後ろに母が座りました。ここはお菓子屋さんの地下なので、ロビーというものはありません。そのせいかみんな、客 席でワサワサと夕食を食べていました。私もさっきのおにぎりと、そして持ってきておいたメロンパンを食べました。うーん、正直に言うと、いつも新潟で食べている、丸い普通のメロンパンの方が好きだな。ただ、あやめさんの落語に出てくるも のを食べられて、満足でした。

食べ終わってもまだ6時でした。
そうだ、ここはお菓子屋さんだったよね。プリンが食べたいよと言って、母と先ほどの1階へ戻り、プリンを一個買ってきました。
「あまりお日もちしません、どのくらい持ち歩かれますか?」とお店の人が尋くので「あの、3秒ほど」と応え、地下2階の自分の席で食べました。
そのプリンと話し合っている時に、よしさんがきて、約束のものを下さいました。
え? 約束じゃない。私はMDがいいと言ったのに、パソコンで聞くCDでした。
でも落語が10席入っているそうなので、後でがんばって、パソコンでCDを聞くやり方を思い出さ なくてはなりません。うーん、忘れちゃったのになあ(汗)

6時半からいよいよメインイベントです。
「石段」という出ばやしにのって、桂あさ吉さん登場。
自分がどうして吉朝さんの弟子になれたかという、爆笑のまくらの後「寄合酒」でした。
吉朝一門の中で、上手な人、奇麗な落語を演る人、器用になんでもする人、いろいろいるけれど、私はこのうちのどれにも該当しない(失礼)あさ吉さんが一番好きだなと思います。

笑福亭銀瓶(ぎんぺい)さん「2かいぞめき」
5月に初めてお会いした時と同じ 感想を持ちました。上手な人だあ。

桂三歩さん「宿題」
宿題を父親に教わりにくる息子は、いつもならたかしくんな のに、今回は銀瓶くんでした。さっき銀瓶さんが、落語の中で「ごろつき」の名前として三歩さんを使った、そのお返しかしら? いやー、笑った笑った。

桂都丸さん「千両蜜柑」

中入りの時はトイレが大変でした。こんなに多勢いるのに、二つしかないんです。どうしよ、次が目的の人なのに、トイレで落語聞くのいやだわ、と思っていましたが、どうにか間に合って席へ戻れました。

桂小春団治さん「日本の奇祭」
この噺はあまり好きじゃないので、少ーしがっかりかな?

とりは笑福亭呂鶴さん「仏師屋盗人」
パソコンで変換したらこの字が出てきたんで すけど、漢字には自信ありません。
読みは「ぶっしやぬすっと」です。にかわの説明やかんてきの話を始めたところで、あ、これはもしやと思ったらやっぱりそうで した。
「にかわと言っても競馬場ではありません」という意味が分からなかったので、翌日に会った人に尋ねたら、大阪のにがわという所に、競馬場があるんですって?
さすがとり、この噺に一番笑いました。

落語会が終わって外へ出たら、夜9時過ぎにもかかわらずものすごい暑さ。
さっきから「ラーメンが食べたい」と思ってはいたんだけど、急きょ「冷やし中華が食べたい」に変わっちゃうほどでした。
ところがここで、この旅行唯一の、不快なことが発生。
ただラーメン屋を探して歩いていただけなのに、酔っぱらいにからまれたんです。
いきなりどなりつけられて、私もかなり頭にきたので「このやろう! 私がなにかしたか? このばか!」とどなり返したけれど、ああいう時にさされるのかなあと、ちょっと思った。
近くに交番があったから、あんなに強い態度になった私だけれど、向こうは3人こっちは二人で、すごく気分悪かったです。
あんまり頭にきたらお腹も空いちゃって、でもラーメン屋さんはみつからず、いったんホテルに帰って尋くことにしました。そうしたら「神戸ラーメン」という店を教わり、そこでちゃーしゅー麺を食べました。実は冷麺もとったんだけど、あまりに酸っぱかったので、母にあげて、私は暑い中熱いラーメンにしたのでした。続く。ミルク。