上海帰りのミル 最終回

 
上海のホテルの朝食が一番豪華でした。
コーヒーと口に出さなくとも、その香りプーンとしたし、なによりうれしかったのが、ごはんと味噌汁とおそばがあったこと。
中華は好きだけれども、毎日食べているともうあきて、この和食がとてもありがたかったです。

今日は空港へいって帰るだけですから、特に書くこともないんですけれど、幾つか思いついたことを書いてみます。
まずバスの中で、けんけんちゃんがこの五日間の自分の仕事、私たち一人一人のアルバムを配りました。一枚1000円というけど、外国人の日本語です。言い間違えだろうと思ってました。アルバム1冊1000円なら、もちろん買おうと思って、それにうちのカメラの調子も悪かったし、けんけんちゃんにいっぱい撮ってもらいました。そうしたらその写真は、みんなB5の大きさに引きのばされていて、その1枚1枚が1000円でした。私と母に配られた写真は全部で11枚あったけれど、おせわになったし、思いきって全部買うことにしました。けれど買わない人も多く、買わない写真だけをアルバムから抜いて、けんけんちゃんに返していましたが、その束のすごい厚さ。ちょっとかわいそうかなと思いました。でも家に帰って、なんでみんなが買わないか少し分かった。同じ所で撮った写真が複数あるのです。それと、どこで撮ったか分からない写真がある。だれかけんけんちゃんの今後のために、教えてあげたらいいのになと思いました。とはいえうちは全部買って、あまり後悔していません。ほんとにおせわになったし、旅行の写真くらい欲しいから。

この時期の江南地区、つまりヨースコー南の地域はとにかく霧が多い。その霧にかすんだところがまたいいらしいんだけど、帰りの飛行機も霧で遅れるかしら、そしたら空港で遊ぼうと、半ば心配半ば楽しみにしたのですが、あっという間に出発の時間になり、お土産屋さんをひやかす時間さへ、ほとんどありませんでした。
やっと最後の10分で、59元を持ってお店へ。
60元のお菓子だけど59元にしてよーと言ったのに、どうしてもだめだという。
仕方ない、50元のチョコレートと8元のジュースにしました。

前の杭州のところで少し書いたけれど、私が中国にきたのはこれが二度目です。
18年前、北京へいきました。
望んで望んで、願って願って北京へいったのに、帰る時の感想は「こんなにかわいがってもらったけど、中国はもうやだな」ということでした。
北京放送の方のだれかしらが、朝起きてから夜寝るまでいつも付いてくれたので、今回みたいに言葉に困るということは一度もなかったのです。にもかかわらず「もうやだ」と思った一番の理由が、トイレでした。しかしあれから18年も経ったのです。トイレだって少しはましになっているだろう。そう思って今回出かけました。結果、あんまり変わってません(汗)ドアがないというのはさすがに無くなったけれど、水が流れない、ドアがしまらない、鍵がかからないというのは日常でした。
それでも「中国はもういやだ」とは、今回は思いませんでした。
18年の間に、私もいろんな国へいってみて、そのくらいのことに驚かなくなっちゃったのです。
いつかもう1回上海へきて、今度は豫園のあのお店たちをゆっくりみたい。
そして、上海にはもう走っているリニアモーターカーに、私も乗ってみたいものです。

新潟空港に着いたら、いく時には確かに動いていた回転ドアが止まっていました。
六本木のあの事件を受けてのことでしょう。
あの事件は子どもとお母さんがほんとは悪いと思うんだけれど、でもこれを期に、前からこわかった回転ドアが止まるのは、うれしいことかなと思いました。
さよなら上海。いつか絶対またくるぞ。