What,now? 2001

「What,now?」の作風はちょっと独特である。
軽やかで、かつ瞑想的。
ゴードンやジャクソンのプレイもきわめて抑制されていて、ハミルもスライドギターを使用するなど、摩訶不思議なムード漂う作品である。

次作の「unsung」は、「Loops and Reels」、「Sonix」に続く「歌なし実験音楽シリーズ」の第3弾。
しかし「What,now?」と「unsung」は、2枚組の作品だとおいらは勝手に思っている。
歌のあるほうが「What,now?」。だからもう一方のタイトルが「unsung」なのだ。

「What,now?」というタイトルはさまざまに解釈可能だが、前年にVdGGのリマスター作業にハマっていたハミルは、それによって陥っていた自らのノスタルジック・モードを払拭すべく、「じゃあ今は何?」という思いでこの作品を書いたのかもしれない。
しかしその問いは、過去の蓄積なくして現在がありえない以上、やはり自分の本質に立ち返ることに他ならない。ハミルの原点を考えたとき、たとえば73~74年頃の作品は、まさに「What,now?」と「unsung」をごちゃ混ぜにしたものではなかったか?

"Fed To The Wolves"のように、本作にもきわめて抽象的な作品が収められている。
今のハミルの関心は、ますます「unsung」的な抽象世界に向かっているのかもしれない。

三度目の来日公演で全く衰えぬパワーを見せつけられ、やはりハミルはライヴだ!という思いを強くしたファンも多いだろうが、ハミルは「じゃあ今は何?」という自分への問い掛けに対し、「What,now?」と「unsung」という、完全に部屋でひとりで聴くための作品を書きあげたのだった。まさに孤高のアーティストと呼ばれる所以であろう。