The Tangent

プログレの本家イギリスのバンド・Parallel or 90Degreesのキーボード奏者、Andy Tillisonのソロプロジェクトとして企画されたのがこの作品(2003年)。
短い曲が16曲も入っているが、実は#1〜#8、#9〜#11、#13〜#16は曲がつながっていて、実質的には全4曲という、いかにもプログレっぽい構成になっている。
メンバーがすごい。Flower Kingsからロイネ・ストルトら3人、そしてサックス奏者にVdGGのデヴィッド・ジャクソンを迎えている。
結局、これがThe Tangentという新しいバンドのデビューアルバムとなり、その後デヴィッド・ジャクソンやロイネ・ストルトは抜けてしまったが、Andyを中心にバンド活動は続けられ、すでにThe Tangent名義で5作(ひとつはライブ)のアルバムを発表している。

Andyのキーボードは、デイヴ・スチュワートやリック・ウェイクマンら、70年代の香りがプンプン。
「地底探検」や、ELPの「タルカス」が好きな人なら楽しめるだろう。
#12は、70年代の「ブラス・ロック」を、あのデヴィッド・ジャクソンが演っていると想像していただきたい。興味津々でしょ?(笑)
#13以降は、まるでフュージョンのバンドとリック・ウェイクマンがジョイントしているような、不思議な世界が展開されている。

このバンドの音楽を一言で表現するのは難しい。
National Health的なカンタベリー色も強いし、SoftMachineのようでもあるし、後期のGentle Giantのようでもあるし、あらゆるジャンルのおいしいとこだけ寄せ集めたようだ。

おいらはFlower Kingsは苦手だけど、これは全くタイプが違うし、1stから順番に聴いていく価値がありそうだと思い、2nd、3rd、そしてLiveまで購入(ただしiTunes Storeで(^^;))。

 

3rdとLiveはどちらもCD2枚組の分量なので、聴き込むにはまだまだ時間が足りないのだが、ひとつ言えるのは、このバンドにはプログレ特有の陰りとか、思想めいた部分がほとんどない。したがって、楽曲そのものを楽しめない人だと、あまりピンとこないかもしれない。
Liveでは「21世紀の精神異常者」もプレイしているし、プログレであることは間違いないのだが。

最新作「Not As Good As the Book(2008)は未聴だが、これもCD2枚組で、20分を超える大作が2曲も入っている。