Drive Home / Steven Wilson

Drive Home

Drive Home

  • アーティスト: Steven Wilson
  • 出版社/メーカー: Kscope
  • 発売日: 2013/10/17
  • メディア: DVD+CD

スティーヴン・ウィルソンの2枚組(DVD+CD)。
DVDの内容は、3枚目のソロアルバム「The Raven That Refused To Sing」に収録されている「Drive Home」と「The Raven That Refused To Sing」のPV(Jess Copeによるアニメ)、フランクフルトでのライブ映像(4曲)。
CDには「Drive Home」の4分バージョン、未発表曲「The Birthday Party」、「The Raven that Refused to Sing」のオーケストラバージョン、そしてDVDと同じフランクフルトのライブ4曲。
CDだけでも51分たっぷり楽しめる。

参加ミュージシャンは以下の通り。ポーキュパイン・トゥリーよりもプログレ色が強いメンバーだ。

Guthrie Govan (guitar)
Adam Holzman (keyboards)
Theo Travis (flute / sax)
Nick Beggs (bass / stick)
Marco Minnemann (drums)

ライブ映像も70年代っぽく、ちょっとレトロな感じに撮影されている。

   

スティーヴン・ウィルソンは現在のイギリスのプログレシーンを牽引する人物なのだが、ちょっと線が細く、何でも器用にこなしてしまうオタク的イメージが強い。
大ヒット作があるわけでもなく、ヴォーカリストあるいはギタリストとしてカリスマ的なスターでもない。
プログレ自体、70年代にアイデアがほとんど出尽くしたジャンルなので、当時からのオールドファンにしてみれば、90年代以降のプログレにきわだったオリジナリティがあるようには感じられないというのも正直なところだろう。
ポーキュパイン・トゥリーにヘビーメタル色が強いのは時代の要請もあったと思うが、それもまた生粋のプログレファンには馴染めないところなのかもしれない。

しかし、スティーヴン・ウィルソンがこうしてソロ活動に高い比重を置くようになり、プログレ色を強めつつあるのは、たった1人でポーキュパイン・トゥリーを立ち上げたときの原点に回帰しようとしているのかもしれない。
実は3枚目のソロアルバム「The Raven That Refused To Sing」はまだ未聴で、こちらのDVD+CDを先に買ってしまったのだが、ポーキュパイン・トゥリーの最高傑作「Deadwing」とはかなり趣の異なる作品ながら、プログレとしては「Drive Home」の方が純度が高く、おいら的には甲乙付け難い。

なにも本当にピンクフロイドの後継者みたいにビッグになる必要はないわけだし、過剰すぎる期待をかけたり、あるいはそれにふさわしくないという理由で毛嫌いしたりするのは非常にばかばかしい話で、1アーティストとして正しく評価されるべきであろう。当人もそれを強く望んでいるのではないかと思わせられる作品ではある。