2006/1/7 笹鮨(神田)

 
元日は家でのんびり、2日はバンジーのおうちで新年会。
3~6日は仕事で、やっと7日(土)に大宮の氷川神社へ初詣に行く。
好天に恵まれ寒さも和らぎ、おいらのような参拝客で予想以上に混んでいた。
参道の屋台もまだかなりの数が営業中。

参拝前に大村庵でにしんそば、ルミチンは天ぷらそばを食べる。うまうま。

今年は簡略化して拝殿の前で参拝をすませ、氷川様とお伊勢さんのお札を購入。
おみくじは共に「吉」だった。
帰りにおばちゃんがやってる屋台にしばらく並び、焼きたての大判焼き(小倉とクリーム)を買って食べる。
皮がパリッとして、美味~。

大宮から京浜東北線に乗り、ルミチンは築地へお墓参りに行くため上野で下車。
おいらは「秋葉館」へ行くために秋葉原で降りたが、駅前でいきなりメイド姿の女の子がチラシを配っていた。
電気街でもそこかしこに客引きのメイドが立っている。
なんだか、ノーパン喫茶が流行り始めた頃の歌舞伎町のような、お気楽な街になってしまったな~。

「秋葉館」でMacの内蔵バッテリーを1本買い、東京メトロの末広町駅からしるばの仕事場へ向かう。
去年の暮れに、旧iMacが壊れたので直してほしいと言われていたのである。
秋葉原からだと意外と面倒で、銀座線、東西線、南北線を乗り継ぎ、約束の時間より10分以上遅れてしまった。

さっそくiMacの電源を入れると、なるほどHDが認識されない。
こんなときはシステムCDから起動し、DiskFirstAidで修復を試みるのが定石なのだが、やっかいなことに、そのCDドライブも壊れているのだ。
おいらは以前、ルミチンiMacのHDが異音を発したとき、分解して大容量のHDに付け替えた経験があるが、5色iMacのライムはそれより古い機種にあたるため、分解するのがけっこう面倒くさい。
ところが、なんというタイミングであろう、「MacFan」最新号の特集が「旧iMacの現役続投計画」というもの(笑)。旧タイプのiMacの分解の手順も詳しく載っていた。それを見ながら分解し、ようやく中のHDを取り出す。持参した外付けHDケースに入れて、しるばの現在のメインマシンであるiMacG5のUSB2.0ポートに接続。
やはりデスクトップにはマウントされない。
OSXのディスクユーティリティーを起動してみると、そこからはUSB接続のHDを認識することができた。HDが完全に死んでいたわけではないようで、一安心。
修復をかけたらあっさり成功して、「マウント」ボタンをクリックすると無事にデスクトップにも表示された。
中のデータさえiMacG5にコピーできれば、もうiMacライムはいらないというので、HDは元に戻さずに組み立て直す。延命用に買って来た内蔵バッテリーは、おいらがうちで使うことにする。

iMacライムはデザインがすばらしいので、CDドライブさえ壊れてなければ、おいらが仕事で使っているG3/233のHDを移植して会社で使いたいほどである。「MacFan」の特集には、旧iMacで使えるスリムタイプの光学式DVDドライブに付け替えるワザも載っていたけれども、お金をかけてそこまでやりたいとも思えない。残念ながら、PCリサイクル行きはほぼ確定だろう。

データを復旧できたことで、とりあえず出張の甲斐はあったというもの。
謝礼をいただいた上、神田の「笹鮨」でごちそうになる。

店構えが、いかにも昔の寿司屋。
6時頃に店に入ると、まだお客さんは誰もいなかった。
70歳ぐらいの親方がモタモタと準備にかかる。
親方曰く、土曜日はお客さんが来ないという前提で店を開けるので、お客さんが来てから仕事を始めるのだという(笑)。
たしかに神田はオフィス街で、土日の夜は閑散としているからな~。
(それでもおいらたちのあとから2組、3人のお客さんが入ってきた。)

煮ハマ、コハダ、ヒラメ、サバ、煮ホタテ、煮イカ、タコ、穴子、鉄火巻、かんぴょう巻、玉子をいただく。
煮ハマや煮イカなど、火を通したネタがおいしい。甘辛いツメの味も、いかにも江戸前だ。
穴子は煮たものをさらに火で炙り、折り畳むようにして握る(写真下)。
ほんのり温かくて香ばしくて、オツな味だ。

煮ホタテは初めて食べたが、親方に言わせれば生のホタテは水っぽくて味も足りないので、生で握るなら平貝、ホタテはハマグリと同じように煮てから握るのだという。
このような手の込んだ寿司を、無造作にガラスケースの上に置いて客に出す気取りのなさが実にすばらしい。

サバは最近はどこでも生っぽいものが主流だが、ここの光り物はかなりしっかりと〆てある。生モノを扱う技術が今ほど進んでいなかった昔ながらの仕事なのだろうが、これはこれでうまいと思う。
総じてネタにしっかり味がついている寿司であり、鮮度で勝負するタイプが多い銀座の寿司とは趣を異にしている。

鉄火巻きは、マグロの筋っぽい部分の身をスプーンで削いだ「すき身」を巻いてくれる。
パリッとした海苔、使う分だけ少しずつ下ろした本ワサビ、そしてマグロの旨みが舌の上でコンチェルトを奏で、口の中が旨みの宇宙と化す(どこかで聞いたような(-_-;))。

フィニッシュは自家製の薄焼き玉子。
オボロをはさみ、酢飯を「つ」の字に巻くように握る。
「今は面倒くさいからやらないんだけど、昔はこうやったもんだ」と、「つ」の字の頂点の中央に、包丁でVの字に切れ目を入れると、Vの部分がピンと立ち、三角形の小窓からピンク色のオボロが顔をのぞかせる。
「煮椎茸を中に入れると、中から黒いのが見えるわけですよ」
そうまで聞いたら、煮椎茸をはさんだやつも食べないわけにはいかない。
子供の頃食べた玉子焼きのような甘い玉子焼きと、甘辛い椎茸が舌の上でコンチェルトを奏でる。う~ん、口の中が・・・(以下同文)

目からウロコが落ちた話としては、本来、ちらし寿司の「上」と「並」の違いは、使うネタそのものの違いではないのだという。「並」というのは、たとえば魚の尻尾に近い部分のように、握って出すことができないハンパな部分を使うから「並」なのであって、ネタの種類も、質も、味も、「上」とは変わらないというのである。なるほどね~。

しるばと一緒にビクビクしながら「すきやばし次郎」や「喜寿司」を食べ歩いたのはもう20数年前のことだが、「笹鮨」はそれよりもはるかに長い間ずっと伝統的な仕事を守ってきたわけで、まるで時間が止まっているようなその店内に身を置いていると、自分たちもあの20代の頃にタイムスリップしたような、なんとも不思議な気分。

お勘定は、親方自ら電卓をたたいて計算する明朗会計。
古き良き江戸前寿司を、5千円ぐらいのリーズナブルな価格で味わいたい人にはおすすめ。

江戸情緒の余韻にひたりながら喫茶店でしるばからすしの世界やマンガ業界のいろいろな裏話を聴く。
ほとんどここには書けない話ばかりなので(笑)、今回のレポートはこんなとこで。